小満
5月21日は二十四節気の1つ小満(しょうまん)です。小満は立夏と芒種の間です。陽気が良くなり、万物に生気が充満し、草木が生い茂るという意味です。この頃に、麦畑が緑黄色に色付き始め、美しい景色になります。人々の生活の糧(かて)である麦に穂が付き、ほっと一安心(少し満足)という意味から「小満」になったという説もあるそうです。小満の終わり頃、実った麦を収穫するため、麦秋(ばくしゅう、むぎあき)という時期でもあります。
小満には各地の稲荷神社で五穀豊穣・商売繁盛を願って「小満祭(こまんさい)」が開催されるそうです。この日でなく5月の第3日曜日としている神社も多く、やはり人出を期待しての行事になっています。
小満の七十二候は次の3つです。
初侯:蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)。蚕が桑の葉を盛んに食べだす頃です。この時期になると、蚕の食欲が旺盛になり、餌を桑の葉をどんどん食べるとされています。皇居でも皇后陛下が養蚕をされておられ、やがて蚕がつむいだ繭が、美しい絹糸になります。昔の農家では養蚕をしている家が多く、屋根裏というか二回に蚕室がありました。また養蚕のための桑畑がありました。桑の実を英語ではmulberry(マルベリー)、フランス語ではmure(ミュール)といいますが、赤から黒に色が変わると熟したことの証なので、洋の東西を問わず、ほの甘い桑の実を食べるのが子供の楽しみだったようです。
次侯:紅花栄(べにばなさかう)。紅花の花が咲きほこる頃です。紅花は黄色がかったオレンジの花ですが、この花から紅の染料や口紅になったことから紅花と呼ばれています。山形が名産地です。アメリカを中心としたBenihana of Tokyoという有名ステーキハウスがあります。少し前まで日本食といえばここが代表でした。日本にはたぶんなく、コックが独特のジョークとパフォーマンスでウケる高級鉄板焼きです。ここの本店というか、元になった店が紅花というレストランでした。紅花は染料にするには咲き始めがよいので、外側からこまめに摘んでいきます。そこから「末摘花(すえつむはな)」とも呼ばれています。『源氏物語』五十四帖の第6帖の名前もあります。
不美人でありながらも生涯光源氏と関り続けた女性ので源氏がこの女性につけたあだ名で、彼女の鼻が紅いこととベニバナの花が紅いことをかけたものです。
末侯:麦秋至(むぎのときいたる)6月1日頃麦の穂が実りのときを迎える頃です。
どれもなんとなく情緒がある時期です。
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