穴子の日
7月5日は「穴子の日」だそうです。単純な語呂合わせです。土用の丑の日の鰻のように、もっと売りたいと願う業者が制定したものです。この時期は穴子が最も美味しい時季とされています。
穴子は鰻と同様にビタミンAやビタミンB類、カルシウムが豊富で夏バテに効果的だそうです。カタチは似ていますし、正直なところ、蒲焼にして丼で食べたら、鰻の小型と区別できない人がほとんどではないでしょうか。「うな丼」「あなご丼」として出させるので、そう認識しているだけで、ラベルに誤魔化されているような気がします。無論、味にうるさい人は識別できます。しかし、多くの人は鰻が高くなって、普段、滅多に食べませんから、甘いタレの味にごまかされてしまいそうです。穴子の方は天ぷらや寿司ネタとして普及しており、割に普及しています。寿司ネタとして、甘いタレ(ツメ)を塗った握り寿司はおいしいですし、最近は1本まるのまま、焼いて握ったものもあり、みための豪華さもあって人気のようです。一方、昔はあまり見なかった鰻も寿司ネタに上がってくるようになりました。この寿司ネタの鰻は「うな丼」の鰻とは別のもののような感じがします。
最近は鰻の白焼きという蒲焼にする前のものも出回るようになりました。白焼きにすると鰻と穴子の差は一層近くなります。ことに小さい鰻と大きな穴子だと見た目も味もそれほど違いがないような印象を受けます。白焼きをワサビ醤油につけて食べると、ほぼ同じです。
鰻と穴子は住む所が違い、生態系も違うのですが、生物学的な分類は同じウナギ目だそうです。ウナギ目にはハモやウツボが含まれる一方で、ヤツメウナギやヌタウナギ、デンキウナギなどはウナギとは別の種類なので、名前に騙されないようにしないといけません。ウナギは昔は一般的な魚だったので、その名を冠した魚がいたわけです。最近、水族館で人気のチンアナゴはウナギ目アナゴ科なので穴子の仲間といえます。
鰻と穴子の味の違い、栄養分の違いを強調するサイトもありますが、どれも鰻の産地のもので、観光資源としての鰻を推進する立場のものです。栄養分の多少が表になっていることが多いのですが、単純に考えると鰻1本分の値段で穴子なら2匹食べられるので、100gあたりの栄養量の比較は実際にはほぼ意味がありません。好みの問題もあるので一概にはいえませんが、鰻がこってり、穴子があっさり、という感覚も昔のものかもしれません。鰻も穴子も季節によってアブラのノリが違います。夏土用の鰻は実際はアブラのノリは低く、暑い日には鰻の売れ行きが下がるという訴えに平賀源内先生が考えたキャッチコピーが「土用の鰻」なので、実はこの時期にアブラの少ない穴子はさらにあっさりとするので、あっさり好みの江戸人には好評だったわけです。江戸前寿司は本来、あっさり好みで、外国人人気のトロは人気がなく、白身や青魚が好評だったそうです。あっさりした穴子は天ぷらにしてもおいしいのですが、鰻は天ぷらには向いていません。ホンネをいえば私自身は鰻も穴子も大好きです。
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