月面着陸
1969年7月20日、アメリカのアポロ11号が世界最初に人類が月面に着陸しました。今でも偽だとかいろいろな陰謀論がありますが、これが捏造だという証拠を示すのは相当困難です。現在のようなコンピュータ技術があったわけでもない時代に、これだけの画像を捏造できるとしたら、それこそすごい技術で、それなら今の画像技術ももっと早く世に出ていたはずです。
この月面着陸計画はJ.F.ケネディの大号令によるもので、当時は米ソ対立の真っただ中、ソ連に世界初の人工衛星を先に越され、宇宙技術競争に勝つには何か大きな事業を成功させるしかなかったので、米国の総力を挙げて実行したのです。意外としられていませんが、月面着陸はその後も成功し、全部で6回行われています。しかし1度失敗があり、それが映画になったアポロ13号です。アポロ13号は月に向かう途中で司令船の酸素爆発が起こり、ミッションを断念して地球に帰還しています。こうした失敗も報道していることがかえって月面着陸の信憑性を高めたのは皮肉なことです。
世間的には失敗すると落胆する人や非難する人が多いのですが、科学的には失敗があることがむしろ安心につながります。非難する人は失敗は無駄だとしか考えないため、予算の無駄だとか、中止というような議論をします。むかし「1番じゃないとだめですか?」と質問した科学を知らない人がいましたが、そういうコスパ意識では前進はありません。そもそもコスパという考え方自体が、最適の判断と同じで、過去の実績を基盤に現時点の状況を判断しがちです。つまり目の前の損得勘定だけということで失敗を判断しがちです。科学的なそして長期的な視点に立つと、完全無欠なシステムというのは存在せず、環境や状況によりシステムに不具合が生じることは常識です。何も事故が起こらずスムーズに成功することは稀で幸運であったといえます。多少の不具合があるのが普通でそこを操縦者とかシステム運営者が経験と技術でカバーしていきます。失敗したケースというのは貴重な経験なのです。そこをカバーすることにより、成功の確立を高めていくわけです。むしろ失敗がまったくないシステムの方が、不安が残り、失敗した時の損失が大きいことが多いのです。月面着陸の場合、その後のミッションはすべて成功しています。しかし失敗をカバーしたシステムは当初よりもコストがかかることが多く、中止になりました。
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