ハシの日


一休寺

8月4日は「ハシの日」と聞いて、何の日を連想されるでしょうか。橋、箸、端?さらに捻れば嘴や土師なども辞書からでてきます。記念日に語呂合わせが多いのも、日本語に同音異義語が多いことが要因になっています。「この橋わたるべからず」という高札に対して「真ん中を通ってきました」という一休さんの頓智も橋と端という同音異義語を利用した「強弁」です。普通なら強引な解釈となるところが、頓智となるところが一休さんの偉いところです。

同じように同音異義語を利用した言葉遊びが語呂合わせやダジャレです。駄洒落と書くように洒落よりもランクの低い冗談ということになっています。最近はオヤジギャグといって、「寒いギャグ」の一つという扱いになっていますが、昔は立派な洒落の一つでした。和歌の世界などでは、掛詞(かけことば)という優雅な技法とされています。そもそも同音異義語を利用した言葉遊びなので、同音異義語の語彙リストが豊富でないと活用できません。そして文脈も重要です。たとえば定番になっている「コピー用紙、頼んどいて」「えーよん(A4)」というのはコピー用紙のサイズという前提と文脈の理解が必要です。コピー用紙でなく、ボールペンだとこのダジャレは通じません。話し手と聞き手の間の文脈の共有と言語理解があって初めて成立します。相手が日本語がたどたどしい外国人だと通じないでしょう。そして冗談という設定も必要です。オヤジギャグといわれる所以は頻繁すぎる、つまりしつこいことから嫌われるようです。あるいは周囲をなごませようとするサービス精神がよけいなお世話だったり、雰囲気と合わないことが原因のようです。冗談は時と場所を選ばなくてはならない、とされています。葬儀など不祝儀の場での冗談は不謹慎とされることも少なくありません。「仏様を安置するのはここでいいでしょうか」「ほっとけ」というのは読んだ方も不愉快になられることでしょう。オモロイヤンカという方はアンチです。

いわゆるダジャレは商品名やキャッチコピーにも頻繁に利用されます。小林製薬の商品はあえてこれに挑んでいるようです。NHKの男性アナウンサとくにオジサンの方はダジャレ大好きな人が多いようです。アナウンサは言葉の商売なので、語彙が豊富ですから、ついその能力を活かそうと思うのかもしれません。大阪弁では普通の日常会話にもダジャレが出てくることが多いと思われています。その特徴はダジャレの後、「〇〇だけに」という言い訳のような文が付加されることが多いようです。「知らんけど」のように付加されることが多いのも、深追いしないため、自分でボケてオチをつける技術かもしれません。東京弁にはこういう言語技法はなく、聞き手が「寒う」といって腕をさする仕草で返すというというコミュニケーションが行われることが多いようですが、それも今は無視の方が増えてきているようです。洒落の上手いのは神戸の人だそうです。

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