DINK
もう死語ですが、昔、Double Income No Kid 略してDINKというのが流行りました。夫婦で二人稼いで子供がいなければ豊かな生活ができる、ということなのです。この前提はそれまでは旦那さんの稼ぎだけで生活し、奥さんは子育てに追われて、子育てや教育には金がかかるので豊かな生活は送れない、という社会情勢があります。この思想が現在の少子化の原因であった、という指摘は未だにありません。そして夫婦が豊かになったという話もありません。
DINKの前は核家族でした。無論、家族で核武装しようという怖い話ではなく、子供は親から独立し、別居して家族を作りなさい、という政策です。実際、田舎から都会に出てきて、都会で結婚して、そのまま都会の郊外に住み続けるというのが当たり前のように思われていて、郊外に団地が増えました。それで山野を切り開き、政策として公団による団地が激増しました。それが今、どうなったか、政策の結果が示されています。団地は狭く、二世代同居は無理です。
子供が生まれて家族が大きくなると、団地住まいは難しくなり、一軒家を求めるようになるので、住宅建築ブームが起こります。住宅ローン減税などの政策もあり、住宅建設が大産業になります。同時に自動車、家電などの購入が激増し、確かに内需拡大になりました。しかし国民は借金だらけになります。それでもローンが払えるうちはよいのですが、経済不況になると負債はこげつきます。どこかの国が今、この傾向に進んでいます。日本は海外と違い、破産しても銀行は損をしないしくみのため、自己破産する国民が増えました。企業家と違い給与所得者は破産するのは人生の終わりと同じです。離婚やホームレスの増加がその結果です。離婚の結果、シングルマザーやシングルファーザーが増加するのは必然です。これでは少子化が増大するのも当たり前です。
住宅建設も核家族化が終わるや否や、二世代住宅という親子二代にわたるローンによる長期ローンを促進しました。地方にいる親を呼び寄せて二世代住宅を建てるのですから、地方にいる親は家を売って資金をもって都会に行くしかないです。結果として地方の過疎化を招きます。もし子供が地方に戻って親と同居すれば、過疎化も自己破産も離婚も減ったと推測されますが、核家族やDINK、住宅ブームに踊らされた国民はそう簡単に地方リターンなどできません。そもそも地方は疲弊していて仕事がないので、帰ろうにも帰れません。皮肉なことにコロナ禍でリモートワークが増えたことで、地方での仕事が可能になってきました。これは政策ではなく、災害による変化です。最近は地方移住を促進する地方自治体や、リモートオフィスを地方に置く企業も若干でてきましたが、官庁や大企業はその流れにないので、政策的に変更しないとやがて流れは細くなっていきます。しかし掛け声ばかりで行政にその動きは見られません。外国では首都は大都市にない国はいくらでもありますが、日本は東京一極から離れられないようです。さて、今後は…。
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