アフタヌーン・ティ文化
最近、一部ではアフタヌーン・ティーブームですね。高級ホテルなどがスイーツバイキングの次に商品化しようとして、テレビを使ってステルス・マーケティングしています。中身を見ると、本場というか起源の英国のものとはかなり様相が違います。
元は英国の貴婦人たちが午後に軽食を食べたことが始まりです。英国の食事は、朝はあっさりしたもので、焼きトマトと茹で豆にトーストと卵料理程度。テレビやネットではフル・ブレックファーストなる豪華朝食が紹介されますが、これは日本の料亭の朝定食と同じで普段は簡単なものです。そして昼はなしのことも多く、夕食まで時間があるので、どうしても小腹がすきます。そこでアフタヌーン・ティと称して、軽食を摂ります。喫茶ならぬ喫食という表現もあるそうです。主としてスコーンとサンドイッチに紅茶です。アフタヌーン・ティようのプレートに小さなスイーツがきれいに並べられているものもあり、それが日本人のお気に入りで、日本に導入されてきています。とくにルールはないので、何を食べてもよいのですが、基本はスコーンのようです。街中のカフェのどこでもありますが、個人的には大英博物館のティー・ルームのものがスコーンもお茶もおいしかったです。有名なFortnum Masonという茶店ではシャンパンとキャビアから始まるのもあるそうですが、いつも混んでいて経験がありません。
スコーンも最近は日本でもよく見るようになりました。スコーンにはクローテッド・クリームというチーズに似たものを塗って、その上にジャムを載せて食べるのが定番のようです。日本ではそれをさらに進化させて、上に載せるものがいろいろ工夫されています。
実は日本でも、昔はおやつ、つまり八時(やつどき)にお茶と煎餅とか饅頭などを食べる習慣がありました。だいたい午後3時ころなので、「おさんじ」という地域もあります。煎餅や饅頭ではなく、漬物がでたり、いろいろな軽食がでて、主婦のお楽しみという習慣が今も残っています。これも英国と同じ理由で、昔は朝食が早く、昼食は抜きで、夕食までの間の喫食をしていました。
お茶が紅茶でなく、日本茶だったのが違いますが、午後茶、アフタヌーン・ティとまったく同じことです。
英米ではランチは食べないか、ごく軽いものです。あの大食いのアメリカ人でさえ、昼はホットドッグという簡便食です。欧米だけでなくゲルマン系はだいたいこのパターンです。ラテン系は朝は軽く、昼にどっさり食べます。夜は遅くから始まり、午後八時頃から始めて、夜通し飲んで騒いでというのが日常なので、朝は「食べられない」のが当たり前です。アメリカ人は朝から大食いが多く、早朝からステーキやパンケーキ、卵、ソーセージ、ハムなどをたっぷり食べます。レストランは早朝から混んでいます。反対に欧州のレストランは朝は遅く、コンチネンタル(大陸式)という軽いものが普通です。アフタヌーン・ティ文化は食文化を理解する機会です。
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