英語と日本語のリズムの違い
日本語の場合、七五調の中の語数を勘定してみると、構成の違いがわかります。日本語では助詞が1モーラである以外は、ほぼ2モーラの語が多く、その組み合わせで4モーラになっていることが多いのです。つまり名詞4+助詞1の結合が5モーラになり、七五調のベースとなっています。その結果、日本語は4拍子が基本という構造が出来上がっていると考えられます。
英語の場合、強勢アクセントにより単語の中が強弱のパターンがあり、リズムとしては2拍子や3拍子があります。
問題は日本英語です。有名な例文としてThis is a pen.を考えます。本当は現実にこういう文が出てくることはほぼありえないのですが、「基本例文」として昔は英語の教科書の最初に出てきました。これを日本語英語で「ジス・イズ・ア・ペン」と読むのが「伝統」でした。この伝統式発音だと、アの後に短い休符があって、4拍子で読むことになります。日本人には4拍子が刷り込まれているので、発音も4拍子がやりやすいわけです。しかし英語ではThisで1拍、is aで1拍、penで1拍となり、3拍子にするか、最後に息継ぎを入れて4拍にします。明らかにリズムの切れ目が異なります。簡略化しすぎですから、すべてがこのパターンではないのですが、基本文における言語リズムの違いということがわかっていただければと思います。この言語リズムは言語習得と同時に獲得されると考えられますから、これがいわゆる「ネイティブ」のリズム感覚の正体ですから、後から外国語学習として習得するのはかなり困難です。一般的には単語を覚えるのが大変とか、文法理解が大変ということで、英語学習が嫌われる傾向にありますが、これは書き言葉の話であり、話し言葉の最大の難関はリズム学習であることは案外知られていません。学校であんなに英語を勉強したのに英会話ができない、という英語教育批判をよく聞きますが、それは書き言葉と話し言葉の構造の違いが教えられていないことにあります。反対に子供の頃にお遊戯として覚えた英語の歌は意味がわからないまま、歌うことができます。子供は言語リズムの習得過程にあるので、比較的習得が容易です。そのリズム習得は無駄ではないのですが、書き言葉を習う段階で日本語英語になるため、せっかくの能力が役立たないのです。
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