リズムと呼吸


呼吸

日本語も英語もリズムがあり、母語話者の脳にしみ込んでいます。そして発声には呼気が必要なので、言語リズムは呼吸と連動しています。本来だと聞く分には呼吸と関係がないのですが、言語を聴く場合でも呼吸と連動しています。聞いているリズムにより脳が反応して呼吸のテンポが変わります。早口を聴いていると、だんだん聞いている側も呼吸が速くなり、心臓の鼓動も激しくなって興奮状態になっていきます。これは音楽でも同じです。

反対にゆっくりした曲やゆっくりしたしゃべりを聴いていると、だんだん呼吸もゆっくりになり、リラックスした状態になり、眠くなることもあります。音を聴いて呼吸がそれに連動するのは言語の場合だけでなく、音一般について当てはまるようで、電車の中で聞くレールの継ぎ目の音や、車のエンジンの規則的な回転音でも同じことが起こるので、そもそも聴覚と呼吸を支配する自律神経が関わっているのかもしれません。お経を聞く時も、これは言語音なのですが、ほぼ2拍子が連続するので、黙って聞いているだけだと、退屈さも加わって、眠くなるのは自然なことでしょう。

外国語の場合、呼吸は人類にほぼ共通のテンポでしょうから、基本的なリズムは同じです。しかしそのリズムとテンポに配置される音、とくに強勢や音調は言語により異なります。それが聞き取りができない理由の根本です。その配置法則が音法です。日本語の4拍子も音法であり、英語などの強勢パターンも音法です。縮約という現象はどの言語にも存在するのですが、言語ごとに縮約のしかたが異なり、弱形も異なります。無論、時間をかけて経験的に習得する、という伝統的語学やナチュラル・アプローチという聞き取りに中心を置いた学習法もありますが、英文解釈には文法の知識があると便利なように、英会話練習にも音法を学習するという方法があり、いろいろな提案がすでに出ています。個人により好みや適不適がありますが、自分の好きな方法を練習するのがよいでしょう。文法や音法は知っていると、より言語学習が効率的にできます。かといって文法学習に偏ると嫌いになったり、法則通りでない例外に悩むことになります。その匙加減というか、必要に応じて知識として学習するのが適切だと思います。

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