日本語の音韻のアルファベット表記 2


ヘボン式

タ行の続きです。ツをtsuと表記する時、ヘボン先生はかなり悩まれたのではないでしょうか。というのも英語にはtsから始まる単語はありません。Catsのように語尾にしか来ない子音なのです。英語の祖先ともいえる古ドイツ語にはあったものが、フランス語やノルマン語の影響を受けて変化するなかで、消滅していきました。

日本語でも、ンが語頭に来ることはありません。英語でもnが子音として語頭に来ることはないのですが、しかし語頭にンが来る言語はそこそこあります。有名な例としてアフリカにNgoro ngoro National Parkというのがありますが、日本では最初のンを省略してゴロンゴロ国立公園と呼んでいます。本来ならンゴロンゴロとすべきところです。このように言語によって、ない子音があったり、来る位置に制限があるのが普通です。こういう子音に外国語学習者は苦労するわけです。

ハ行のfuは事情が違います。本当はfの音ではありません。もしhuと表記すると英語では別の子音になります。このhuという発音は日本人には相当難しいです。たとえばhoodとfoodでは異なる子音ですが、日本英語ではフッド、フードと短音と長音という方法で区別していますが、実際は子音の違いであり長さの違いではありません。ヘボン先生はhuではないことはわかったのですが、fでもないので、これも困ったことでしょう。実際、日本語のフの子音は日本語独特の子音で、英語にはありません。日本語の「フーフーする」という擬音語は英語に直接相当する擬音語がなく、blow(息を吹きかける)と訳すしかないのです。擬音語が言語によって、かなり違いがあることはいずれご紹介しますが、小さい頃から使い続けていて自然に習得しているため、世界共通だと誤解している人は多いです。

ヤ行にyi,yeがないのは日本語の歴史と関係があります。ワ行が1つしかないのも同じく歴史的変化です。ヰやゐ、ヱやゑ、ヲとをという字を見たことがあると思いますが、これらは旧仮名遣といい、平安時代からずっと変更が行われてきました。その理由は話し言葉がどんどん変化し、書き言葉をそれに合わせて変更させていく必要があったからです。この変則性は今でも「は」と書いてワと読んだり、同じ音なのにとオのように文字を変える規則が残っています。これらも将来は変わるかもしれません。

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