十三夜


十三夜

10月27日は旧暦長月十三日で、十三夜です。満月は毎月あり、十三夜も本来は毎月ありますが、長月の満月がいわゆる名月であり、その後の次の満月前の十三夜をとくに十三夜と呼んでいます。満月は世界中、どこの文化でも重要視していますが、十三夜という満月前の状態や十六夜(いざよい)のように、わずかに過ぎた状態を愛でるのは日本独特の文化意識だろうと思います。

キリスト教文化圏ではクリスマス前夜は楽しい気分になり、しっとりと楽しむ人々もいますが、例のクリスマス・イブのように大騒ぎする人々も少なからずいます。

そもそも西洋では満月は楽しいものではなく、不吉なものと思われています。赤い大きな月rose moonはとくに悪いことが起こる前兆ですし、lunatic(狂気)という語の語源はラテン語のluna(月)に由来します。狼男や吸血鬼も月に関連しています。彼らからすると、月を愛でるアジアの文化は理解しがたいでしょう。まして満月前や満月後の欠けた月を見て、心を動かすというのは信じがたいでしょう。日本のわびさびがなかなか理解されなかった原因もここにありそうです。

その影響でしょうか、近年の日本は急激に米国化し、明治の西洋文明化以来の文化の変質が進んできていると思われます。若い人は十三夜の意味はわかるのでしょうか。

今、流行っている昭和ブームですが、戦後すぐの歌謡曲には「月も未練の十三夜」という歌詞があります。「月の法善寺横丁」という修行中の板前の恋物語ですが、その法善寺横丁も昔の姿はなくなってしまいました。「十三夜」という題名の歌もあります。「河岸の柳の 行きずりに、ふと見合せる 顔と顔、立止り 懐しいやら 嬉しやら、青い月夜の 十三夜、夢よ昔よ 別れては、面影ばかり 遠い人」という歌詞ですが、こういう恋愛はもうなくなってしまいました。河岸も市場となり、柳は撤去、この歌ももう知る人も少なくなったことでしょう。

十五夜と十三夜のどちらかしか月見をしないことを『片見月』もしくは『方月見』といい、縁起が悪いとされていました。十五夜と十三夜を合わせて『二夜の月(ふたよのつき)』と呼ばれており、十五夜の月見をしたら、十五夜の次に美しいとされる十三夜の月見もするのがよいとされていました。もう一度月見されてはいかがでしょう。

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