冬至の翌日は元日?
冬至はこの日を境に日が長くなっていくことから、「一陽来復(いちようらいふく)」という新年の元日のような日です。古来から現在でも、冬至を境に日が長くなっていくので、だんだん暖かくなるようなイメージですが、実際にはこれから大寒など、寒さは増していきます。太陽が気温と関係があることは確かなのですが、現在の天気予報でも解説しているように、北方からくる寒い高気圧と南方から来る熱い高気圧が来るかどうかで気温が決まります。旧暦の時代は気圧という考えはありませんし、そもそも寒暖計もありませんから、肌の実感で寒暖を判断していました。判断の基準として、自然を観察して、空の雲の変化、土の変化、風の変化、植物の変化や動物の変化などから、そろそろ暑くなるとか、寒くなるとか、予想していたわけです。
数年前、ある古老から教わったのですが、雪国では椿の花の芽を見て、花芽が露出している年は雪が少なく、花芽が葉に隠れるようなら雪が深くなる、という言い伝えがあるそうです。今では気象庁の長期予報が出るので、それを信じて対策をしますが、案外はずれることも多く、自然観察の方が確率が高い、ということのようです。気象庁の予報は当然、科学的です。言い伝えは長い経験値の伝承です。現在は経験値は非科学的で根拠にならない、という思想が蔓延していますが、非科学的だから真理ではない、ということにはならないです。そもそも科学的であることがすべて真理とはかぎりません。科学的結論や定説がひっくりかえることはしばしばあります。むしろ最近の傾向としては経験を科学的に証明することが増えてきています。人間の手作業による技術をAIでシミュレートするのは、目に見えていなかった経験をデータにより再現していることになります。科学では再現性が重要視されますが、熟練の技術は結果として再現性が高いものがいくらでもあります。反対に再現できないような芸術性の高いものも生産できます。同一の物も唯一の物も生産できるのが熟練の技術です。
冬至に行われてきた北欧のユール(Yule)は今ではクリスマスと一緒になっています。そしてクリスマスの翌日が新年のような感覚で生活している人もいます。宗教といえど改宗によって長年の慣習をすっかり変えることは難しいようです。日本には冬至の翌日を元日とする習慣がなかったのですが、それでも旧正月は残っています。
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