冬至 winter solstice


冬至粥

一年で最も昼の時間が長くなるのが夏至、最も夜が長くなる冬至です。冬至は生命の象徴である太陽の力が最も弱くなる日であることから、「死に最も近い日」と考えられ、恐れられてきたという歴史があります。一方、この日を境に日が長くなっていくことから、陰の気が極まり陽の気に向かう折り返し地点とも位置づけられ、「一陽来復(いちようらいふく)」という、衰運をあらため幸運へと向かうみそぎの意味合いがあり、それで柚子湯に浸かり禊(みそぎ)をする風習があるのです。

天文学が古くから発達していたメソポタミア文明の暦でも、歴史の長い古代中国文明の暦においても、冬至およびその前後が新年の始まりとされていた時期もありました。

地域ごとに形は違っていても、全く異なる宗教や文化を持つ世界のあらゆる国で、独自の習慣が生まれていることは太陽を重要視していた点は共通といえます。

日本では冬至にニンジンやキンカン、寒天、うどんなどの「ん」のつく食べ物を食べると運が向上するという言い伝えがあります。カボチャも「南瓜」を音読みすれば「なんきん」で、「ん」が2つつく食べ物となり、縁起担ぎにうってつけだとされたようです。なぜ「ん」のつく食材が運気を向上させるのかについては諸説があるり「運」を呼び込むといった説や、いろは歌の最後が「ん」なので一陽来復のように開運を願うなどといった説があります。昔からの言い伝えにはないですが、プリンやバームクーヘンなどの洋菓子でもいいのかもしれません。

冬至粥は冬至の日に食べる粥で、小豆粥のことです。小豆の赤い色は、厄を払い運気を呼び込む縁起物とされています。赤は厄払いなので、紅羊羹やリンゴの菓子でもよさそうです。トマトジュースなら栄養的にもよさそうです。リコピンですから。

冬至粥は、地域によっては小豆ではなくカボチャで粥を作るところもあるそうです。

北欧には冬至にユール(Yule)という祭りがあります。キリスト教伝来以前のゲルマン人の祝祭で、元は豊穣祭として古代北欧の豊穣神であるフレイや死の神オーディンにオスのブタを生贄として捧げた後に食べ、ビールを飲むなどの宴を催したそうで、今でも北欧ではクリスマス時期に揚げた豚肉を食べる習慣が残っています。Yule log幹を燃やし太陽の復活を祝う儀式の名残があのブッシュ・ド・ノエルだそうです。

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