降誕祭前夜
クリスマスの日本語訳は降誕祭です。イブは前夜ですから、クリスマス・イブの日本語は降誕祭前夜というのが正式でしょうが、誰もそういいません。ちなみにお釈迦様の誕生日は降誕会といいますから、区別されています。
日本ではいつのまにか、前夜もクリスマスと呼んでいて、祭当日はもう関係ないような雰囲気になります。クリスマス・イブに家族で食事するのが習慣化し、チキンを買って、なぜか苺のショートケーキを食べるのが定番になっています。これは日本独自の習慣です。そもそも宗教的な儀式が何もありません。キリスト教徒でないので、徒然と言えば当然ですが、「メリークリスマス」といって乾杯、があります。これは明らかにアメリカ文化が浸透した証拠です。そのアメリカではチキンはありえません。七面鳥の丸焼きロースト・ターキーが定番です。アメリカではクリスマスはフライドチキンが売れない日です。その挽回なのか、日本ではフライドチキンが一番売れる日ですから、明らかに何か商業的な戦略があったのでしょう。クリスマスケーキは日本のケーキメーカーの商業的戦略なのはわかっています。そもそも冬に苺はありません。そのため温室でわざわざ栽培して、この時期に出荷することで高価な苺になりました。それで苺農家が一斉に温室苺栽培になり、しかもケーキの飾りになるような形のよいものが粒を揃えて出荷されます。苺栽培競争になり、今では師走に苺が出回るのが当たり前になってしまいました。これも現代日本文化です。
クリスマスのご馳走は同じキリスト教圏でも内容はさまざまで、最近は欧州の風習も入ってきて、ブッシュドノエルやシュトーレンなどもケーキ屋に並びます。最近はアドベントカレンダーという暦まで入ってきました。いろいろな文化を知り、異文化を楽しむのは悪いことではありませんが、それが定番化するのはどうなのでしょう。そういう何もかも取り込むのが日本文化だといってしまえば、それだけのことかもしれませんが、日本独自に発展していくのも日本の特徴かもしれません。
クリスマスには家族団らんで食事、というのは割に新しく、戦後まもなくの頃はお父さんたちがバーなどで乱痴気騒ぎするのが風物でした。これは駐留米軍の影響でしょう。クリスマス当日は残ったチキンとケーキの安売りも日本の風物です。
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