統一と力
「分かれる」に対し「集まる」方は集であったり、合であったり、いくつかに分かれています。とくに統一という「結果」になることはかなり好意的に捉えられるようです。歴史的にも天下統一とか、度量衡の統一などが記述されます。反対に分裂はあまりよいニュアンスではなく、歴史的に記述されることは稀です。日本史上でも分裂が記述されているのは南北朝に分かれた時くらいではないでしょうか。
統一という行為には必ず力が背景にあります。大抵は諸大名などが争っている戦国時代に誰かが武力で他のすべてを制圧し、政権をとったことを統一と呼んでいます。そして統一後は独裁的になり、その政権維持のために武力が必要になります。統一後には必ず反対勢力が勃興し、多くは敗北した側の残党です。それらを力でねじふせることで統一が維持されるわけです。
統一政権は独裁者の死によって、再分裂し、一旦は集団的に運営されることもあるのですが、力のバランスは微妙であり、結局はその中から次のリーダーを目指すものが現れ、それに反対する勢力との争いになり、再び戦国に戻るというのが定番です。
ただ日本史を通暁すると、平安時代や江戸時代のように比較的長く政権が維持される場合もあります。この2つの時代をよく観察すると、絶対的独裁政権ではなく、むしろ帝をいただいて、象徴化し、その象徴の元に結集するスタイルをとり、二重政権化されます。そして政権は世襲により維持することで、安定を図っています。
統一という語はどちらかというと政治に関する場合が多く、工業でも規格統一という場合もありますが、産業的には独占のイメージがつきまとうため、必ずしも好意的なニュアンスがあるとはかぎりません。そして規格統一の場合もみんなで相談して合意によって決まることよりは、力の強いメーカーにより推し進められるか、政府のような強権によって定められます。やはり背後に力関係があります。
集まる、というのは必ずしも統一を意味しません。むしろ単一になるのではなく複数のまま集合することを意味します。これを複合的といい、思想としては複合主義となります。多様性を認める社会というのは複合主義が前提で、同化という統一を前提とはしていないことを理解しておく必要があります。
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