旧暦師走
1月11日から旧暦の師走になりました。新暦から1カ月遅れていますが、旧暦は1カ月が30日ですから、少しずつ取り返していきます。昨年は閏月があったので、1年が13カ月ありました。今年は新暦の2月に閏日がありますから、1日だけ取り返しが早くなります。しかし旧暦では2月も30日なので、その分のズレが起こります。ややこしいように感じますが、実際は単純で旧暦は1年が基本的に30日×12か月で360日ですから、新暦に比べて5日足りないため、その分早く年が進んでしまいます。それで閏月で調整するわけです。新暦の方は太陽の運行が基本なので、1年が365日ですが、実際は365.2422日なので、その誤差を調整するために閏日があるわけです。
閏日は英語でleap dayといいます。Leapとは「飛ぶ、跳ねる」という意味です。閏という漢字は特別な字で、門がまえに王と書きます。 これは、常の月の一日には宗廟 (そうびよう)にいる王が、閏月には門の中にいるという、古代の儀礼によるそうです。読みを「うるう」とするのは閏と潤を混同して“うるおう”という読みがなまったものだそうです。東洋と西洋では同じ現象に全く違う意味を与えています。いずれにせよ、人間が決めたものなので、文化の違いが出るのは当然のことといえます。ただleap monthという表現は西洋の太陰暦lunar calendar にもあり、それに近いユダヤ歴でも採用されている用語です。日本では太陰暦は旧暦ということで明治時代に廃止されましたが、世界には未だ太陰暦の文化が残っています。ちなみにユダヤ歴では創世紀元あるいはユダヤ紀元といい、ユダヤ教においては神が世界を創世した日が西暦換算で紀元前3761年10月7日とされています。従って西暦2024年はユダヤ暦5784年となっています。イスラエルはユダヤ教の国家ですから、今でも祭日はユダヤ歴に従って行われます。宗教と暦が結びついているので、日本のようにあっさりと旧暦と捨てるわけにはいかないのです。ではイスラエルがいわゆる文明化、近代化に遅れているかというとそうではなく、技術や軍事は世界的に見て一流です。日本が明治維新で、富国強兵のために旧来の文化や宗教を排除していったことと比べると、西洋文化をそのまま取り入れる文明開化が本当に必然であったのか、今なら再考できます。同じことは現代にも当てはまり、欧米がいつも先端で正しいとはかぎらないでしょう。
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