社会変数の変化


人種・民族

社会変数は社会学的研究のために設定される社会集団の分類です。集団をどのように分類するのが便利なのかは時々によって変化し、また分類者の主観によって左右されます。たとえば学歴については、少し前までは中学卒、高校卒、大学卒であったのが、最近は大学院卒が付け加えられ、中学卒はないことが多いです。これは教育の高等化といえます。アメリカでは博士号(Ph.D.)が大学院卒と同じ意味なので、社会変数としてよく使われますが、日本では大学院卒とまとめられて修士か博士かの区別はないことが多く、博士課程満期退学という日本の文系にしか見られない学歴も統計に採用されることはほぼないといえます。つまり集団の人数があまりに少数では分類の意味がないので、ある程度の数があることが前提です。統計では集団の平均値により、t検定という集団の差が有意(意味がある)かどうかを計算することがよく行われます。同じ社会変数の集団の中にも数値が違うのが普通ですから、分布があります。その分布の偏りが偏差値ですから、偏差値の比較も行われます。分布ですから、あまり数が少なくては意味がありません。このように一定数があるような社会変数を設定しないと統計的な意味がないので、社会変数の設定が社会調査の技術の1つといえますが、それには経験が必要です。社会変数は調査時点で確定しておかないと後で付加できないので、間違った設定をすると調査そのものが無意味になってしまいます。

最近のアメリカの人口調査の例ですが、2030年から白人の定義を変更するそうです。「アメリカ合衆国行政管理予算局(OMB)が、連邦政府および国勢調査の回答用紙において、「人種・民族」を回答する箇所に「Middle Eastern or North African (中東または北アフリカ系)」、「Hispanic or Latino(ヒスパニックまたはラテン系)」の選択肢を追加することを発表した」のだそうです。(https://www.msn.com/jajp/news/opinion/白人の定義が変わる)日本人からすると意外な感じがします。現在の定義では「「白人 (White American)」は「ヨーロッパ (European American)、中東、北アフリカ」起源の者と規定」(wikipedia)となっていますが、日本人は中東(アラブ人)や北アフリカ人(エジプト人など)を白人と思っているでしょうか。今度の変更ではヒスパニックというスペイン語を話す人々つまりメキシコ人、カリブ海や南米から来た人々に「白人ではない」という選択肢を追加する、という意味です。つまりこれまでは統計上「白人扱い」してきたのですが、当人のアイデンティティが異なるので、「別扱い」に変えようということなのです。昔はWASPといいWhite, Anglo-Saxson, Protestantという社会変数をもつ人々がアメリカを支配しているといわれていました。これは人種、民族、宗教を社会変数としたということです。日本の国勢調査にはどれも採用されていません。つまりアメリカという国の成り立ちがこれだけでわかります。逆にいうと、社会変数による差別がある、ともいえます。日本では出身地が社会変数として使われることがありますが、アメリカではほぼありえません。これも日本社会の特徴です。

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