Vernal Equinox


コラム挿絵:春分のイメージイラスト

Vernal equinoxと聞いて、ピンとくる人はそう多くないと思います。英語圏でもあまり知られていない英語ですし、文学などにもあまり登場してきません。英語圏ではMarch equinoxという表現の方がまだ馴染みがあるようです。英語圏では科学用語ですが、日本では春分という誰もが知る祝日です。春分は科学的には、秋分や夏至と冬至も同じレベルで考えるべき天文現象です。諸外国では、理科の時間に習うのですが、生徒の関心はあまり高くないようです。日本では春分と秋分は祝日ですが、夏至と冬至は祝日ではありません。春分と秋分が祝日なのは、古来、この頃に行事が行われてきたことに関係があります。戦後の1948年に公布、施行された「国民の祝日に関する法律(祝日法)」により制定されました。祝日法上の春分日は毎年3月20日~21日ごろのいずれか1日とされており、実際には日付が指定されていません。祝日法の春分の日の項目をみると、「太陽が春分点を通過する瞬間」が「春分」と定義され、春分を含む日のことを「春分日」とし、「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされています。戦後に制定されたということは、戦前に何かあったから、ということが推測されます。春分の日は、もとは旧法にあった「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」から改称されたのです。春季皇霊祭は、現在でも行われている宮中祭祀の一つで、毎年春分の日と秋分の日(秋季皇霊祭)に斎行される大祭です。つまり同じ行事を改称して、意義を変えた、というわけです。元々この日はお彼岸であって先祖を祭る日でした。またお彼岸に最も近い戊の日は、社日として氏子が氏神たる神社に参詣し、春は五穀豊穣を祈り、秋は実りある収穫に感謝する習わしがあったのを一緒にしたわけです。春分は二十四節気の1つですから、15日間です。お彼岸の5日間がその時期に重なっているわけです。春分点とは「、黄道と天の赤道との2つの交点(分点)のうち、黄道が南から北へ交わる方の点(昇交点)のこと。この点が赤経0時かつ黄経0度であり、この点を太陽が通過する瞬間が春分となる」(wikipedia)と説明されていますが、わかりにくいのですね。「黄道(こうどう)とは、天球上における太陽の見かけ上の通り道(大円)をいう。地球から見た空を一つの球体とみなし(これを天球と呼ぶ)、諸々の星座を天球の地(じ)と考えると、太陽はこの天球を一年かけて一周するというようにみえる。」(同上)という考え方をまず理解する必要があります。「天の赤道(てんのせきどう)は、地球の赤道面を天球にまで延長し、天球上に交わってできる大円のこと。」(同上)です。ご興味のある方は「春分点」で検索してみてください。天体運動なので、一瞬のことです。2025年は3月20日18:01(日本時間)です。それで3月20日が春分の日になっています。春分点、春分の日、春分は別々の概念なので、分けて理解しておくことが「正しい知識」ということになります。なお、春分点がどの星座に入るかが占星術では重要で、現在は水瓶座にあります。この水瓶座にある期間を「水瓶座の時代(Aquarian age)」といい、世界的な変動が多いそうです。

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