メタバース
メタバースが話題になってきています。仮想空間でアバターが動く、といわれてもピンとこない人も多いと思います。実物を見れば一目瞭然ですがVRとの混乱もあるようです。
簡単にいえばメタバースは仮想空間という世界、VRはそれを実現するツールという説明がなされています。それでもなんだかわかりにくいですね。
メタバースは英語だとmetaverseです。Metaは「高次の、~を超えた」という意味のギリシア語です。同様の結合語にはmetabolismがあり新陳代謝のことです。あのメタボのことで日本語では太りすぎの意味で理解している人が多いと思います。これは語の区切りを語源を知らずに区切ったせいです。誰が言いだしたのでしょうね。難しい用語としてはmetaphysicsというのがあり日本語訳は形而上学です。そもそもこの語を知っている人が少ないでしょうし意味を知っている人はさらに少ないと思います。これはギリシア哲学の用語でアリストテレスが考えたものです。世の中の目に見える世界がphysicsで今では物理学の意味ですが、本来は物の世界なので哲学では形而下学と呼んでいます。それに対して思考の世界、頭の中の世界をmetaphysicsといいます。日本語訳が漢文調なので却ってわかりにくいですね。さてverseというのは本来は詩のことで聖書の句のことも意味します。この語は応用範囲が広く、reverseといえばひっくり返すということで洋服のリバーシブルの元の語です。1つという意味のuniと連結するとuniverseで宇宙のことです。宇宙はspaceという英語もありますが、ここでいうユニバースは世界のすべて、この世のすべてという意味ですが、spaceは空間ですから、宇宙と宇宙空間が英語では区別されています。日本では宇宙と宇宙空間を区別している人は専門家以外にはないと思います。宇宙旅行はどちらでしょうか。そうspace travelが正解です。
このように英語の語源を知っているとmetaverseは直訳すると超世界となります。この語はゲーム業界から出てきたようで、本来meta-universeのことで圧縮してmetaverseになったらしいです。これはuniverseを知らないと意味が通じません。ましてバースは日本語にはbirth, Bass(普通はバスですが元阪神選手など人名ではバース)、Barth(地名)などが同じ表記ですから意味が曖昧になります。
メタバースではアバターが登場します。このavatarというのも意味がわかりにくいですね。語源はサンスクリット語で化身のことです。ヒンドゥ教では神が化身します。たとえばビシュヌの化身がラマです。日本だと観音様がいろいろ化身されるのを想像してください。これもゲーム業界かコンピュータ業界の人が使い始めた用語です。コンピュータ関係の人はこうした一見意味がわからない用語を作り出すのがお好きなようです。そして日本のIT関係は英語をそのままカタカナにして輸入するので一般人にわかりにくいです。
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