旧暦はパラレルワールド
6月10日は時の記念日です。暦というのは時の流れの記録のようなものです。旧暦について考えてみるのも一興かと思います。
日本の旧暦は明治5年に廃止されましたが、今も生きています。旧暦による習慣や行事の一部は新暦に移されましたが、今も旧暦のまま動いている行事もあります。それは当然のことで、旧暦は太陽太陰暦ですから、太陽や月が動いているかぎり、それを基準とした時の流れの記録は継続するのが道理です。
パラレルワールドにはいろいろな定義がありますが、科学的なものとしては「現在の宇宙は主に正物質、陽子や電子などで構成されているが、反陽子や陽電子などの反物質の存在が微量確認されている。この物質の不均衡は、ビッグバンによって正物質と反物質がほぼ同数出現し、相互に反応してほとんどの物質は消滅したが、正物質と反物質との間に微妙な量のゆらぎがあり、正物質の方がわずかに多かったため、その残りがこの宇宙を構成する物質となり、そのため現在の既知宇宙はほぼ全ての天体が正物質で構成されているのだと説明されている。ビッグバンの過程において、この宇宙以外にも他の宇宙が無数に泡のごとく生じており、他の並行宇宙では、逆に反物質のみから構成される世界が存在するのではないかという仮説も提示されている。」というのが代表的なものです。(https://ja.wikipedia.org/wiki/パラレルワールド)。わかりやすい説明をすれば、今の現実世界の他に並行して存在する別世界がある、ということで、昔からたくさんの物語があります。神の世界、仏の世界もパラレルワールドかもしれませんし、浄土や極楽、天国と地獄のような死後の世界もパラレルワールドといえるでしょう。ただしこれらの世界は確かめようがなく、空想といえば空想という唯物論的な考えもあります。しかし人の心とか、過去の事実などは間接的に認識できるものの直接見聞きすることはできません。
そこへいくと旧暦はすぐに実感できますし、実際に行事も行われているので、実体験できます。ある意味、パラレルワールドであって、この世でもあります。日本の仏教では彼岸と此岸は普段は離れていますが、お彼岸やお盆の時にはつながることもあるとされています。あの世のご先祖がこの世に戻ってきて、少しだけ過ごして、またあの世に帰っていきます。竹取物語のかぐや姫は一度月の世界に行ったら、戻ってきませんし、浦島太郎は戻ってきたら、二度とは竜宮城に行けない片道切符です。昔から、人はこういう、もう1つの世界を想像し、考えをめぐらしてきました。これは人間の生活において、現実以外の世界が必要であることを示している、といえます。とくに現実世界の生活が厳しいと、理想的な別世界に生きることが望みになります。
旧暦の世界は政治制度といってしまえばそれだけですが、長く成立していた分、歴史もあり、生活に密着した文化です。唯物的思考や合理主義だけでは片づけられない諸問題に、少なからず解答を与えてくれます。時の流れは1種類だけでない、と知るだけでも意味があると思います。
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