出窓と廊下の文化
出窓のある家とない家があります。どういう基準で出窓を作るのかよくわからないのですが、明り取りとしての窓の機能に鉢植えやぬいぐるみなどを置いて、室内インテリアとして人気があるようです。出窓には室内向けの飾りであると同時に、外部への飾りとしての機能もあり、ヨーロッパの街では出窓にたくさんの花が飾ってあって、町全体の風景になっていることも多いです。
日本の旅館では出窓が広くとってあり、そこに腰かけて外とのやりとりができるようになっています。歌舞伎や新国劇などで有名な演目である「一本刀土俵入り」の名場面では、水戸街道の宿場町取手宿の茶屋旅籠、我孫子屋の二階の窓にもたれて、あばずれた様子の酌婦お蔦が酔いをさましているシーンがあります。ここでは出窓が重要な舞台になっています。
出窓とよく似た機能のスペースにベランダがあります。ベランダは床があり、洗濯物を干したり、器具を置いたりすることができるので、外にある小さな部屋のような機能になっています。ベランダとよく似たものにバルコニーがあります。バルコニーとベランダの違いは、屋根の有無です。バルコニーには屋根がついていませんが、ベランダには屋根がついています。バルコニーと似ているものとして、テラスがあります。バルコニーは2階以上にある場合をいいますが、テラスは同じ形状をしていても、1階部分にある場合をいいます。庭や地面から一段高く、リビング・ダイニングの床とほぼ同じ高さに設置することが多く、屋根がないことも特徴です。
昔の日本家屋には部屋の外に長い廊下がありました。当然屋根がついていますから、バルコニーに似ていますが、家の外でなく、家の内部にある点がバルコニーとは違います。西洋にも建物の外に屋根のある回廊というのがあります。日本の寺院にも建物同士を結ぶ回廊がありますが、建物の周りを囲む西洋の回廊とは違い、外にある廊下のような形式になっています。一方で神社仏閣には建物の周りに屋根のある廊下がついていることもあります。こうして西洋と日本を比べてみると、内と外という意識が違うことに気が付きます。屋根のあるなしが1つの基準ですが、必ずしも決まっていません。建築では重要なので法律的には厳密に定義がなされています。
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