アメリカの夏休み
アメリカの学校は小学校から大学まで、概ね5月中に学年が終了します。州ごとに違うので日本のように一律になっていません。大学は概ね5月15日が卒業式だったところが多く、翌日から夏休みになります。夏休みといっても、その期間に夏季学期があり、講義に出る学生もいます。またこの時期だけ、他の大学の夏季学期に参加して単位をとることもあります。夏は暑い南部を避けて北部や山岳地域の大学に行ったりします。日本では他大学の講義を受ける機会はありますが、それほど多くはありません。それは入試制度と単位制度の違いにあります。その詳細は後日に譲るとして、学生だけでなく、先生も移動することがあります。それは雇用制度の違いです。
小学校から高等学校までは概ね州ごとに、時には郡単位や都市単位で終業日が決められます。年間180日という原則があり、地域によっては夏が長かったり、短かったり、反対に冬が長かったり短かったりしますから、調整するわけです。また休日も週ごとにバラバラですから、日数調整のため、移動させたりします。日本のハッピーマンデーはこの制度を真似たのかもしれません。もっとも日本の場合は連休を作るため、という経済目的ですから、事情はまったく違います。アメリカの終業日は早いところは5月16日、遅いところでも6月20日までには行われます。大体木曜日なのは金曜日から休みに入るためです。日本では金曜日まで学校があり、土曜日から休みが始まる、という考えが当たり前になっていますが、アメリカの場合、金曜日が安息日という宗派がかなりあり、その日は学校を休んでよい、という暗黙の不文律があります。そのため、どの宗派にもかかわりのない木曜日に終業日を置く習慣が定着しています。日本では土曜日がなぜ休みなのか、という根拠がはっきりしませんが、アメリカの場合、土曜日が安息日の宗派、日曜日が安息日の宗派があり、その日は仕事workをしてはいけないという戒律なので、学校も先生も休みなのです。聖書には「七日目に神も休まれた」ことが書かれているだけで曜日は書かれていません。キリスト教の多くが日曜日を安息日としているため、その習慣が日本に持ち込まれて、明治政府はヨーロッパの習慣を真似して、1週間という制度と日曜日を休みとする習慣を強制的に導入しました。同時に学校制度も導入したので、現在の習慣が出来上がったのです。始業は、欧米では9月1日ですが、日本では4月1日始業です。日本を含む東洋では春夏秋冬という季節感が浸透しており、春から始まるという感覚は生活習慣になっていて、さすがの明治政府もそこまでは強制できなかったようです。それでも9月1日始業をしようとした試みが何度もありましたが、失敗しました。現在でも秋入学という制度を導入した大学もありますが、それほど普及していません。導入の理由は海外留学した学生が不利にならないように、という例外的な理由が始まりでしたが、実際には海外からの留学生を受け入れるのに都合がよい、というインバウンド需要が大学経営に重要であるところが増えてきたことによります。
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