クリスマス



クリスマスがなぜ日本に定着しているのか、考えてみました。言語的にみると5音であることも理由の1つでしょう。お正月、大晦日、なども5音です。Christmasは直訳すると救世主祭です。キリストは固有名詞ではなく称号のようなもので、イエスが名前です。本来は地名をとって「ナザレのイエス」でした。キリストというのもギリシア語で、ユダヤの言語であるヘブライ語ではメシアといい、普通、救世主という意味と理解されていますが、原義は「油を注がれたもの」という意味だそうです。Masは本来、massでミサの意味です。ChristmasはChrist’s Massの省略形という歴史があります。Xmasという表現もあり、Xはキリストをギリシア語でΧριστόςと書き先頭の文字X(カイ)が英語のXに相当するところから、Xでキリストを表しています。この略記は英語圏でも使われるので間違いではないです。X‘masのようにアポストロフをつけて省略を表示するのも正しいのです。時間を表すo’clockがof clockの略であることと同じルールです。
日本ではクリスマスは家族で祝うパーティという認識が一般的で、キリスト教とは無関係な楽しみです。チキンとケーキというのは日本文化です。米国の七面鳥を真似たものが起源で、フライドチキンになるのは宣伝の賜物です。フライドチキンの本場であるアメリカでは、クリスマスはフライドチキンが売れない日なので、チキン屋さんはさぞ喜んでいることでしょう。苺が載ったケーキを流行らせたのはケーキ屋です。米国はパイが一般的です。ヨーロッパではローストビーフなどが一般的で、飴で固めたケーキなどが多いです。日本でも最近はドイツ風のシュトーレンやクリスマスマーケットも人気のようです。同じヨーロッパでも北欧ではユールYuleといい、冬至の意味が残っています。料理やスイーツは国によって違いますが、豚肉やラム肉をカリカリになるまで焼いた料理とジンジャークッキーが多いようです。要するに国ごとにクリスマス文化が違うので、日本のクリスマスは欧米を真似る必要はなく日本独自であっていいということになります。
宗教との関係についても、そもそもイエスの降誕がこの日かどうかは諸説があり、冬至と接近していることは偶然ではありません。冬至が新年の始まりであり、冬至祭がキリスト教の伝来により混淆したとしても自然なことです。実際、西洋のクリスマスは東アジアの正月に似たような大きな祭りです。西洋の元日は意外なほどあっさりしています。これには伝統文化と暦のずれが影響してそうです。宗教行事は伝統文化そのものですが、暦は人工的な産物の一つで、自然科学を基盤とした政策ですから、世界標準ではあっても、宗教によっては別の暦と併用している国もたくさんあります。

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