冬至の食べもの
冬至はゆず湯に入って、カボチャのいとこ煮を食べる、というのが我が家の習慣ですが、ゆず湯は身体が温まるので意味はわかりますけど、なぜカボチャ、なぜ小豆、いとこ煮とはどういう意味、など子供の頃は不思議でした。昔、教わったのは、カボチャは南瓜と書き、ナンキンはンがついているから、運が付くというゲン担ぎだそうです。それなら南京豆(ピーナツ)でもいいのでは、と屁理屈したのも懐かしい思い出です。今はネットがあるので調べてみると、地域によってはコンニャク、ダイコン、レンコン、ニンジンなどを煮るところもあるようです。サツマイモというのもあって、これは別名を甘藷(かんしょ)というのでンがついています。しかしゴボウとか、里芋という地域もあって、単なる煮物にすぎない地域もあります。
ンが付くということでは、落語に「ん回し」(演者によっては「田楽食い」)という有名な噺があります。町内の若い衆が集まって、何かおもしろい嗜好はないかということで、豆腐屋に田楽を焼いて持ってこさせ、ンがつく度に1本、というルールで遊びます。最初は大根、人参など普通に2本ずつやっていますが、中にはキャベツなどと1本ももらえないヤツもいたりします。そして「先年(せんねん)、神泉苑(しんぜんえん)の門前(もんぜん)の薬店(やくてん)、玄関番(げんかんばん)、人間半面半身(にんげんはんめんはんしん)、金看板銀看板(きんかんばんぎんかんばん)、金看板『根本万金丹』(きんかんばんこんぼんまんきんたん)、銀看板『根元反魂丹』(ぎんかんばんこんげんはんごんたん)、瓢箪看板(ひょうたんかんばん)、灸点(きゅうてん)」と言い、「なんだって、もう一遍言ってみろ」と言われて繰り返して、86本せしめます。そこで…(と後は落語を聞いてください)。私はその後の下げよりも、この部分が好きです。とくに万金丹、反魂丹という昔の薬名とそれを書いた看板を骨董品として見た時、感動しました。
さて小豆はなぜ冬至なのかというと、赤は魔除けの色だからです。赤飯も今ではめでたい意味しかないですが、本来は「好事魔多し」といい、良いことがあると必ず悪いことが起こるので、それを避けるための魔除けをしたことに由来します。
いとこ煮というのは諸説がありますが、とくに南瓜と小豆でなくてもよいらしく、野菜同士は親戚なので、という説が私は好きです。煮物は普通、芋煮や筍煮などメインの野菜の名前がつくのですが、いとこ煮は目玉焼きと同じで、2語を組み合わせて別の意味を作り出す複合語であることがおもしろいと思います。
さて小豆ですが英語ではred beansといい、やはりンが付いているのは偶然でしょう。
小豆を煮て砂糖を入れるとアンコになります。こういうコジツケもおもしろいですね。
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