大寒と二十日正月



今年は大寒と二十日正月が1月20日に重なっています。ともに旧暦の行事でしたが、大寒は二十四節気で、太陽の運行から割り出していますから、新暦になっても大きな誤差はありません。二十日正月は旧暦の行事を新暦に移動させたものなので、本来とは日が違っています。2023年1月20日は旧暦だと師走29日で、旧暦だと1月20日は新暦の2月10日に当たります。本来はこの日が二十日正月なのです。

旧暦についてはこのコラムでも頻繁に記述してきましたが、日(ひ)と月(つき)の運行を観察しながら季節を感じて、行事を進めていく生活の暦です。そもそも日と月というと日曜日や月曜日を連想するのが現代生活です。その場合は日(にち)と月(げつ)と呼んでいます。日が太陽ということは常識ですが、月が太陰ということはあまり知られていません。この命名は陰陽五行説に基づいたものです。ついでにいえば曜日に日、月などを当てはめたのも陰陽五行説です。

二十日正月には京阪神地方では鰤の骨や頭を酒粕・野菜・大豆などと一緒に煮て食べることから骨正月・頭正月とも言うそうです。乞食正月(石川県)、棚探し(群馬県)、フセ正月(岐阜県)など、正月の御馳走や餅などを食べ尽くす風習があるというそうです。要するに表現はよくないですが、残飯整理のような感じです。今では正月料理の残りを20日間までとっておく家はまずないでしょう。冷蔵庫が発達した現在の方が早く捨ててしまうというのも不合理な気がします。昔は、冬は外に出しておけば、温かい地方でないかぎり、粕漬け、塩漬けにすればじゅうぶんもったわけです。地方によっては1月30日を三十日正月(みそかしょうがつ)という地域もあるそうで、正月というのは字の通りひと月のことなので、理にかなっています。

今ではひと月は長い期間ですが、昔は日が昇って、日が沈むのが一日、新月が朔日で満月が十五日、そして次の朔日の前日までがひと月という単位で生活していました。そんなに大昔ではなく、ラジオ、テレビが普及する前まではそうでした。長い歴史の中で、ほんの最近のことです。週という制度は西欧化が始まってから普及したものです。今でも給料は日給か月給で、欧米のような週給という制度はありません。プレミアムフライデーも金曜日が給料日になれば意味が出てきます。欧米好きの人もなぜか週給制への言及がありません。金曜日をpay dayにすれば土日の消費は増えます。また労働時間も週単位で計算する法律が決められています。欧米の真似なのです。

明治5年に新暦を導入して西欧化を図ったのですが、150年たっても変わらない身近な伝統もあるのです。

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