シチリアの晩鐘


シチリア

「晩鐘」といえばミレーの晩鐘という絵画が有名ですが、「シチリアの晩鐘(晩祷ばんとう」という絵画も知られています。同名のヴェルディの歌劇もあります。日本語名はいろいろあるみたいですが、これは1282年3月30日にシチリアで起こった住民暴動と虐殺事件がモチーフになっています。この事件当時のシチリア島はフランス国王の叔父であるシャルル・ダンジューの苛酷な支配下でした。事件が発生したこの日はキリスト教の復活祭の翌日に当たる月曜日で、教会の前には晩祷(夕刻の祈り)のために大勢の市民が集まっていました。そこへフランス兵の一団がやって来て、その土地の女性に手を出そうとしたため、その女性の夫はいきなりその兵士を刺したのです。その場に居合わせた他の市民もフランス兵に襲いかかり兵士の一団を全員殺してしまいました。その時に晩祷を告げる晩鐘が鳴ったことから、この事件は「シチリアの晩祷(晩鐘)」と呼ばれるようになりました。この暴動は全島に拡大し、フランス系の住民は見つかり次第に殺され、その数は4000人以上に及んだとされています。この暴動の結果、アンジュー王家はシチリアから追放され、代わってアラゴン王家がシチリアの支配者となり、2つの王家の間で繰り広げられた戦争は20年にも及びました。この戦争は「シチリア晩祷戦争」と呼ばれています。
この暴動の時の合言葉「Morte alla Francia Italia anela」(フランスに死を、これはイタリアの叫びだ)の各単語の頭文字を並べると「Mafia」となり、これが「マフィア」の名前の由来であるという説があります。
マフィアといえば、映画「ゴッドファーザ」とか「アンタッチャブル」などから、イタリア系ギャング組織という意味となり、今では意味が拡張して反社会的組織をマフィアとよぶ習慣になりました。元は支配者への抵抗だったわけです。
アンタッチャブルで有名になったアル・カポネですが、英語ではAl Caponeなので、アル・カポウンと発音されます。こうしたいわゆるローマ字読みで広がった英名はたくさんありますから、英会話の時には注意しなくてなりません。
マフィアの資金源として闇の酒販売があり、当時の禁酒法が背景にあります。今でも禁酒法が残っている州があり、dry statesといいます。多くは安息日holidayが禁酒となっていて、アメリカだけでなく、オーストラリアやニュージーランドにもそういう街は意外に多くあります。アメリカでは大麻を合法化している州がある一方、禁酒をしている州もあり、今話題の妊娠中絶を禁止する州と合法とする州もあって、正に多様性の国です。そのことも知っておきたいです。
この話の元であるイタリアも複雑な歴史があります。いつか勉強してみてください。

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