義務と権利
絶対と相対のように、対義的つまり2つで1組のような概念が多くあります。対義的概念の特徴は相互排他的つまり一方の概念は他方を一切含まないことです。表裏一体と表現されることもありますが、紙のように表があって裏があるわけです。義務と権利もそういう関係にあり、権利だけが独立して存在することはありえないのですが、最近の人権を廻る議論では権利の主張だけがなされることが多くなりました。中学公民で習う国民の三大義務についてまず再学習します。
- 普通教育を受けさせる義務、②勤労の義務、③納税の義務が三大義務です。
日本語の説明の欠点だと思いますが、どれも主語がないため抽象的になってしまいます。この3つは日本国憲法に規定されています。①は【第26条】「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」主語は「すべての国民」で目的語は「保護する子女」つまり自分の子供です。子供の教育は親の義務であり、子供は教育を受ける権利がある、ということです。この規定の前提として、世界には児童労働などで学校に通わせてもらえない子供がいますが、日本ではそういうことはあってはならない、という日本のルールです。②は【第27条】「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」で勤労は国民の義務でもあります。政府は教育のための学校を設置しなければならないように、国民が働ける場所を提供しなければなりません。ハローワークはそのためにあります。③は【第30条】「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」この条文は主語が「国民は」となっており、①②のように「すべて国民は」となっていないことに注意が必要です。また権利について書かれていません。理屈をいえば、「すべて」でなくてよい、という前提があり、義務が除外される場合を想定しています。日本には兵役の義務は今はありませんが、世界の多くの国が今でも兵役を義務としています。義務については国ごとに異なり、たとえば以下のようになっています。兵役に男女差別がある場合もあります。LGBTはどうなのでしょうか。
ドイツ 子どもの保護・教育、男子の兵役、所有権
フランス 労働、環境の保全
ロシア 納税、環境の保全、兵役
中国 労働、教育を受ける、秩序遵守、祖国の安全、祖国防衛の責任、納税
韓国 教育を受けさせる、勤労、納税、国防
(https://social-line.com/komin-3gimu/)
上記のサイトには書かれていませんが、日本国憲法がモデルとしたアメリカは複雑で、国民というより市民(住民)としての権利と義務という形になっています。
権利:自己表現の自由、自己の欲求に基づく礼拝の自由、迅速で公正な陪審裁判、公職選挙の投票、市民権が必要な連邦職への応募、公職選挙への出馬、生命、自由、及び幸福追求の自由
義務:アメリカ合衆国市民は、陪審裁判に招集される、憲法の支持と防衛、地域社会に関わる問題への関心、民主的プロセスへの参加、連邦、州、地域の法の尊重と服従、他人の権利、信条、意見の尊重、連邦、州、地域当局への正直かつ遅れのない所得税及びその他の税の納税、招集された時の陪審役務、有事の際の国家防衛 となっています。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |