縁日


縁日

縁日というと屋台店のことだと思われるようになってきました。これは意味の主客が転倒しています。本来、縁日とは、神仏の降誕、降臨、示現、誓願などの縁(ゆかり)のある日、すなわち有縁(うえん)の日のことをいいます。縁日には祭りや供養が行われ、この日に参詣すると普段以上の御利益があると信じられています。それで多くの人が集まるので、それを目当てにした屋台店が並ぶようになりました。縁日の屋台では普段、あまり目にすることのないお菓子や遊びがあり、子供たちにとっても、大人たちにとっても楽しみであり、娯楽でした。価格も庶民的であり、安物とわかっていても、つい買いたくなるようなものばかりです。それが今では、物があふれるようになり、百円ショップの隆盛で安物はいつでも手に入るようになり、お菓子もコンビニで買えます。ゲームもスマホでできるようになり、縁日の楽しみはかなり減りました。それでも昔懐かしいものがあり、屋台店のにおいに誘われて、つい手が出てしまいます。

年の最初の縁日を初(はつ)○○といい、初天神、初観音、初不動などがあります。干支を縁日とする初午、初巳などもあり、年の最後の縁日を納め(おさめ)の○○または終い(しまい)○○といいます。明治時代の新聞には縁日欄もあったそうです。今のテレビはほぼ紹介しません。縁日はとくにコロナ禍期間に大きく衰退してしまいましたが、また復帰するのでしょうか。

縁日の代表例として、元三大師  1月3日、宝生如来 - 毎月3日、阿閦如来 - 毎月4日、弥勒菩薩 - 毎月5日、水天宮 - 毎月5日(日本橋が有名)、薬師如来 - 毎月8日、金毘羅 - 毎月10日、虚空蔵菩薩 - 毎月13日、日蓮聖人 - 毎月13日、普賢菩薩 - 毎月14日、阿弥陀如来 - 毎月15日、閻魔 - 毎月16日、歓喜天(聖天) - 毎月16日、千手観音菩薩 - 毎月17日、観世音菩薩 - 毎月18日、七面天女 - 毎月18日、馬頭観音菩薩 - 毎月19日、十一面観音菩薩 - 毎月20日、准提観音菩薩 - 毎月21日、弘法大師 - 毎月21日、如意輪観音菩薩 - 毎月22日、不空羂索観音菩薩 - 毎月23日、勢至菩薩 - 毎月23日、八幡神 - 毎月23日、地蔵菩薩 - 毎月24日、愛宕権現 - 毎月24日、文殊菩薩 - 毎月25日、天神 - 毎月25日(天神祭)、法然上人 - 毎月25日、愛染明王 - 毎月26日、不動明王 - 毎月28日、大日如来 - 毎月28日、釈迦如来 - 30日、妙見菩薩 - 毎月1日,15日、鬼子母神 - 毎月8の付く日、稲荷神 - 午の日、摩利支天 - 亥の日、毘沙門天 - 1月,5月,9月の最初の寅の日、大黒天 - 甲子の日、弁才天(弁財天) - 己巳の日、帝釈天・青面金剛 - 庚申の日。実にたくさんの縁日がありますが、地域により、また信仰する神仏により各自が選びます。地域の場合、近所にこうした神社や寺があるのでわかります。こうしてみると、毎月の行事であることが明白で、故人の月命日と同様に日本文化は月単位で生活していたわけです。ちなみにカトリックの聖人の日は年に1度ですし、キリスト教やユダヤ教の安息日は毎週ですから、欧米は週単位の生活であることがわかります。日本も明治以降、週単位の生活が増えましたが、それは学校や官庁がそうなったからで、給料は今でも月給制、支払いも月単位です。これが生活のリズムを作っています。

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