建築文化
文化と言うと、食文化や芸能に関心がいきがちですが、海外旅行をすると真っ先に目につくのが町の風景です。それは家並みが国によって全く違うことです。家というのは自然環境と密着しており、長い生活的な伝統があります。建築物も文化そのものです。建築といっても、寺院やビルなどの大きなものから、一般の住宅、田舎の民家までさまざまです。観光というと最初はどうしても大きな建築物に目が行きますが、しばらくすると、街の住宅や、街路、昔の街並み、田舎の風景と興味が移っていきます。同じ文化圏でも、地域による差もあります。日本でも、昔の地方都市には違いがあり、駅前の風景も独自性があって、旅の楽しみの1つでしたが、今はどこも同じになってしまい、楽しみがなくなった気がします。同じように車はグローバル生産になって、どこへ行っても同じ車ばかりです。昔は国によりデザインに違いがありましたが、今はコンピュータデザインになって、どの車のほぼ同じスタイルになってしまいました。その方が効率はよいのでしょうが、スタイルへの憧れとか楽しみがなくなりました。家屋についても同じことがいえます。
昔、欧州に行った時は石造りの建物が多いことに興味を惹かれました。そして何百年も前に建てられた建物の中をリフォームして使っていました。日本の昔の建築物は木造中心でしたから、お互いに異文化を強く感じることができました。現地の人々になぜ石造りの建物を残すのか聞いたところ「石は呼吸しているから健康によい」という答えが返ってきた時に、大層驚きました。木が呼吸する、というのはわかるのですが、石が呼吸する、という感覚は日本人にはありません。コンクリートは呼吸しないから健康に悪い、という説明はちょっと理解できませんでした。科学的にはコンクリートの方が空気の流通があると思います。日本でも蔵は石造りでしたが、空気の流通が少なく温度が一定に近いからだと思っています。火事に強いこともあるでしょう。
最近、日本にやってくる外国人が地方にまで来ている報道が目立ちます。最初は昔のイメージで浅草や京都に関心があるのですが、次第に街並みや田舎の風景が欧米と違うことに興味をもつようになり、人々の日常生活の違いに興味をもつようになるのは自然な文化理解です。ある意味、日本文化の本質がより深く理解されてきています。
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