間取りと寸法の文化


玄関ロビー

欧米の家に行くと、まず玄関の広さに驚きます。英語でentrance hallまたは単にhallというのですが、確かにホールというほど広く、ここで客を迎えるのがルールです。日本では玄関がある家でも、靴を脱ぐ程度のスペースで、よほどの大きな家でないと、接客するような畳の間はついていません。広い玄関の間にはたいてい衝立(ついたて)があり、奥は見えないようにしています。欧米の玄関は階段や客間などのドアが見えるようになっていて、中を隠すということはありません。

自分の家の窓や柱のサイズと学校のサイズがかなり違うことに気が付きませんか。日本の家の間取りは今でも尺貫法が中心です。1間(けん)は6尺で約1.8mが基本になっており、1間四方が1坪で3.3㎡。メートル法だと半端な数字になるのは、基本が尺貫法である証拠です。しかし学校は規則で尺貫法を採用していません。学校も含めてビルなどでは、スパンという概念が使われています。これは建築の構造的な単位で、柱の中心と中心の距離のことです。建物の大きさによって異なりますが、一般的には5mとされています。学校でも古く建てられた建物と新しく建てられた建物ではスパンの長さが違いますが、いずれもメートル法が採用されています。これは構造計算などがしやすいためと言われています。

柱の太さも日本は寸尺が基本で、明治時代に1尺=10/33 mと定められたので、1寸は正確に1/33m、約30.303 mmと定められています。実はそれ以前は地域で違いがありました。欧米はインチが基本で、1cmは0.39370インチ、1インチは2.54㎝です。最近、よく耳にするツーバイフォーは2×4を英語読みしたもので、2インチの厚さ、4インチの幅の板のことで、これで作り上げていく工法のことです。これだと同じ規格の木材をくみ上げていくので、安く出来上がります。同様に基本がコンクリートブロックは厚さ10㎝、縦20㎝、横40㎝になっています。実際には目地を積むことを意識して、縦と横が1㎝ずつ短くなっています。こうした倍数の建材は計算がしやすいのと扱いやすいので広がっていきました。現在は建材の多くがメートル法になってきており、間取りも変わってきていますが、これは日本の場合で、欧米は未だヤード法が中心です。欧米が保守的で、日本の方が合理的なことは案外知られていませんね。

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