壁の文化
最近の日本の家はカラフルな壁の家が増えました。これは建築法の違いと建築材料の変化が理由だと思います。日本の古い家の壁は土壁で、竹で編んだ格子状の網の上に泥と藁を混ぜ込んだ土を塗りこんでいきます。そのままのこともありますが、大抵は上に漆喰などを塗ります。基本的に外壁では柱を露出することはあまりありません。
ヨーロッパの古い家の作りも似たような土壁が多いのですが、基本的に柱を見せることが多く、それがデザイン性の違いになっています。壁の色は土の色そのままの場合、土の違いで、地域ごとに独特に色合いになっていて、それが情緒になっています。観光で訪れると、なんとなく安堵感と違和感が一緒になって、異国情緒になっています。
アドビAdobeというと日本ではソフトウエアの会社を連想することが多いのですが、元々の意味は「日干し煉瓦」のことで、アメリカのニューメキシコ州の部族であるプエブロ族の土壁の意味です。日本ではローマ字読みしてアドべと誤読している人がいる、ともっともらしい解説をしている人もいますが、英語ではアドウビーと言うのが普通です。強勢の位置が違いますので、英語で発表する時はやや要注意です。ただし他に間違えようのない固有名詞なので、ソフト会社のつもりならアドビーともアドべでも問題はありません。この土壁はアメリカ西海岸では人気があり、ニューメキシコ州のアルバカーキーなどのアドビ建築の家などに、クリスマスになるとキャンドルがたくさん並べるデコレーションが幻想的で、アメリカのベストクリスマス風景になっています。土壁に蝋燭という古風なものがクリスマスにはよく似合うのです。
日本では、長く続く白壁はお金持ちの象徴であり、さらに凝った海鼠(なまこ)壁はさらにお金のある武家や町屋の流行でした。
壁は英語でいうとwallなのですが、外壁との塀との区別は曖昧で、一応、塀はfenceということになっていますが、北京の万里の長城はThe Great Wallといい、壁扱いです。日本語的には城のようなニュアンスですが、実際は大きな塀です。有名な北京の観光地は一見、城のような立派な造作ですが、離れると土塁のようになっています。
壁はbarrierというところから、心理的な障壁のことも壁と呼んでいますがおもしろい例えです。境界的な意味なら塀に例えてもよさそうなものですが。
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