ニクとフクの日


肉いろいろ

12月29日はニクの日でもあり、フクの日でもあります。肉の日は毎月ありますが、福の日はこの日だけのようです。福の日は紀文食品が制定したそうで、お正月準備の日という商業戦略です。肉の日も肉屋さんやスーパーのセールですから、似たようなものです。どちらも語呂合わせなのですが、まず肉の話からします。

肉という日本語は牛肉、豚肉、鶏肉だけでなく、魚肉や果肉という表現もあるように、皮の内側の実の部分を指しています。そして肉の前に具体的な名前を示すことで、複合語的に名詞になっています。しかし英語では牛肉、豚肉、鶏肉をそれぞれbeef, pork, chikenのように別々の語に分化しています。つまり古くから関心が深い文化であったことが分かります。さらに同じ牛肉でも、tongue(舌), neck(首), chunk(肩ロース), rib(リブ) , short rib(ともばら), prime rib(極上リブ), rib eye(リブ芯), loin(ロース), tenderloin(ヒレ肉), sirloin(サーロイン), brisket(肩バラ), plate(ともばら), flank(バラ肉), shank(スネ肉), round(もも肉), oxtail(尻尾)という呼び名があります。日本では焼肉の関係で、タン、ロース、カルビなどと分けていますが、これも文化的語彙分化といえます。同じもも肉ですが、豚肉の場合、hamと呼びます。元来は豚もも肉を塩漬けして、時には燻製したものを日本ではハムと呼んでいます。生ハムは燻製していないものを指すのが一般的です。本来は豚肉ですが、鶏肉や魚肉でもハムと呼ぶことがあります。日本語のハムは肉の種類や製法ではなく、スライスしたものか、スライスする前の筒状のものを意味しています。鶏肉は日本でも昔から食べていたせいか、部位名称が分化しています。焼き鳥屋に行くと、個別の名前でメニューができています。皮、レバー、ハツ、砂肝、手羽、なんこつ、むね、もも、など普通の部位名称のものもありますが、ささみ、せせり、そり、ぼんじり、など特別な名前のこともあります。かんむり(とさか)、さえずり(のど)、おたふく(胸腺)、もみじ(足)、となると普通の人は知らないかもしれません。魚についても、マグロなどの大きな魚にはトロ、中トロ、ハラミ、カマ、脳天、ホホなどの部位名称があります。ただしトロ、中トロというのは部位というより味で決まっていて、正確には部位ではなく、同じ中トロでも背の部分と腹の部分があります。正に日本文化です。

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