百八の煩悩


煩悩

大みそかには除夜の鐘を衝くのが慣例です。大抵は順番で1回づつ衝かせてもらうだけですが、鐘を衝くという行為そのものよりも、除夜の鐘の音と共に一年の罪を懺悔し、煩悩を取り除き、清らかな身になって新年を迎えることが大切です。それで除夜というわけです。

煩悩は人間の心に起こる様々な欲望や執着のことです。これらの欲望や執着は人々を苦しめる原因となることがあります。3つの煩悩として貪欲、瞋恚(しんにょ)、愚痴があるとされています。これを三毒といいます。煩悩は仏教では六根と呼ばれる感覚器官と関係しています。六根とは、目・耳・鼻・舌・身体・意識のことであり、私たちが外界からの刺激を感じるための器官です。煩悩はこれらの感覚器官を通じて生じる欲望や執着によって引き起こされます。煩悩は人間が本来持っている清浄な心を曇らせ、苦しみを生み出します。仏教では煩悩を乗り越えることができる方法を教えています。修行や瞑想などを通じて煩悩を取り除き心を浄化することができるのです。

仏教の経典である大般涅槃経によれば、人間の心には108の煩悩が存在し、それを除去することで解脱が得られるとされています。また、108は仏教において特別な数字とされており、宇宙の全ての苦しみを表しているとも言われています。

九十八随眠という概念があります。これは人間の心に潜む煩悩を98の種類に分類したもので、それぞれの煩悩に対応する教えがあります。三毒や五蓋、五下分結・三結なども煩悩に関連する教えです。五蓋は、貪欲、瞋恚、愚痴、慢心(まんしん)、疑い(うたがい)の5つの障壁を指します。五下分結・三結は、人間の心に結びついている5つの束縛(下分結)と、それを解くための3つの方法(三結)を指します。

また、五下分結(ごげぶんけつ)と三結(さんけつ)は煩悩が結びついて生じる心の状態を表します。五下分結は欲貪、有貪、見貪、戒貪、見取貪の五つの状態を指し、三結は我執、戒執、見執の三つの状態を指します。

複雑で覚えきれなくても安心してください。最初は三毒を消すことから始めます。除夜の鐘で全部消えてしまうのではなく、人間には多くの煩悩があり、日頃精進して、できるだけ煩悩を無くすという姿勢を除夜の鐘と共に作ってみてはいかがでしょうか。

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