白馬節会と人日の節句、七草粥
旧暦1月7日に「白馬節会(あおうませちえ)」が宮中では行われていました。白馬と書いてアオウマと読むのは由来があります。白馬節会が始まった当初は中国の故事に従い、ほかの馬よりも青み(鴨の羽の色)をおびた黒馬(「アオ」と呼ばれる)が行事で使用されていました。醍醐天皇の頃になると白馬または葦毛の馬が行事に使用されるようになりましたが、読み方のみそのまま受け継がれたため「白馬(あおうま)」となったとされています。現代日本語ではアオは青の意味しかイメージされませんが、よく信号機のアオがグリーンであることが話題になります。アオを蒼と書くと暗い青色を連想しますが、クロと「暗い」は語源が同じなので、日本語のアオは意味の範囲が広いことがわかります。1月7日天皇は豊楽院(紫宸殿)に出御して邪気を祓うとされる白馬を庭にひき出し、群臣らと宴を催す行事があるそうです。また京都の上賀茂神社や大阪の住吉大社などの神社では神事として行われているそうです。
旧暦1月7日は「七日正月」でもあり、本来は人日(じんじつ)の節句です。この節句は古代中国の風習に起源があり、日々を様々な動物に捧げ、その動物を殺さないことで敬意を表すという風習がありました。正月の1日を鶏の日、2日を狗(犬)の日、3日を猪(豚)の日、4日を羊の日、5日を牛の日、6日を馬の日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにしていたのです。7日目の人日は、人に対する敬意と慈悲の心を象徴する日とされていました。この精神が日本に伝わり、平安時代から続く伝統として根付いたものです。江戸時代には、五節句が幕府の公式行事となり、武士だけでなく庶民にも広く祝われるようになりました。
この日には、新たな年の健康と無病息災を願う「七草粥」を食べる習慣があり、今では七草粥の日として広がっています。七草粥は7種類の野菜を入れた粥で、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロで、春の訪れを告げるものです。秋の七草というのもあります。七草粥を食べることで、新年の始まりを祝いつつ、身体を休め、無病息災を願う意味があります。正月の慌ただしさから一息つき、自然の恵みを感謝するという、日本人の精神性を象徴する行事とも言えるでしょう。また、この日は「新年になって初めて爪を切る日」ともされ、「七種を浸した水に爪をつけて、柔かくしてから切ると、その年は風邪をひかない」のだそうです。
五節句とは人日(じんじつ) 1月7日で食べ物は七草粥です。七草の節句ともいいます。次が
上巳(じょうし)3月3日で桃の節句ともいいます。雛祭りには菱餅や白酒などを備えます。端午(たんご)5月5日は菖蒲の節句で、菖蒲酒を飲んだりします。菖蒲湯の方が有名かもしれません。関東では柏餅が食べられ、中国や関西ではちまが食べられます。七夕(しちせき) 7月7は笹の節句で一般には七夕(たなばた)と呼ばれています。裁縫の上達を願い素麺が食されるが伝統です。最後が重陽(ちょうよう)9月9日で菊の節句です。菊を浮かべた酒が供されます。
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