ボーダーレス社会


ボーダーレス

ボーダーレスとはborderless のことです。ボーダーは境界のことですが、多くの場合、国境を意味します。日本は海に囲まれているため、国境という意識が薄いとよくいわれます。同じ島国ですが、イギリスは陸の国境がアイルランドにありますし、そこがしょっちゅう紛争の原因になっています。またフィリピンは海の境界で中国と紛争があります。国境意識が薄いということは領土意識も希薄ということで、実際、時々政治的関心はあるものの、国民の関心はあまり強くないようです。国を意識するのは領土ではなく、スポーツ競技の方が多いようです。

国境がなくなる、というのはグローバル化とは異なります。日本では国際化やグローバル化、海外進出はほぼ同じ意味になっています。ヨーロッパではECという共同体を作ることで、域内の国境をなくし、通貨を共通化して、人々の通行を自由にしていますが、EC外とは共通化していないので、ブロック化であって、正確にはボーダーレスとはいえません。そしてブロック化の歴史も長くなってくるにつれ、矛盾もでてきて、格差が顕著になってきて、国家という意識が完全にはなくならないことが明らかになってきました。それはいくら国境を無くしても、言語や宗教や文化の境界までなくなるわけではないので、どうしても差が残ります。統一化した金融も格差が生じ、不公平がでてきて、イギリスのように離脱した国もあります。

アメリカは今や国境がないに等しい状態になり、移民の流入に悩んでいます。一日に数十万人という日本では想像できないような数の不法移民が流入しており、民主党の現政権の間に流入した移民人口は社会問題を引き起こしています。アメリカは「移民の国」という歴史がありますが、大量移民のたびに大きな社会問題を起こしてきました。何度かあった内戦(civil wars)も移民が原因です。これからのアメリカは何度目かの移民問題の歴史が繰り返されます。

日本にも移民がなかったわけではないのですが、少数であり、歴史的な大問題になったことはほぼないといえます。ただ、現在は移民の数が急増していて、近い将来、社会問題になることは予想されています。移民には正式な手続きをとった場合と、不法滞在者の場合にわかれますが、後者が圧倒的に多いのが普通です。不法滞在者には最初から不法の場合もありますが、最初は正式入国しても、手続きを怠るとか、期限を越えて滞在するなどの不法移民もあります。もし国境をなくせば、不法移民もなくなります。入国管理という手続きがなくなるからです。同時に国家という概念もなくなります。それは国家管理もなくなるということであり、憲法を始めすべて法律の根拠がなくなる、ということでもあり、無法状態になることを意味します。グローバリストの理想としては国家をなくし、世界統一的な組織と法を作ることのようですが、それは巨大な独裁政権を作ることと同じであり、また言語や社会や文化の異なる人々を統一した社会の実現は不可能という歴史を学んでいないことになります。

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