資本と資産
資本と資産も一般人に誤解ないし混同されることが多い用語です。資本家と資産家を区別している人がどのくらいいるでしょうか。ひっくるめて「お金持ち」くらいに考えていないでしょうか。資本家は英語でcapitalist、資産家はwealthy manです。日本では金持ちの意味でrichをよく使いますが、英語ではrichでも間違いではありませんが、wealthyの方がより正確に意味が伝わります。
英語のrichは金持ち以外に、豊か、豊富、ふさふさした、濃い、コクのある、といった幅広い意味があり、金持ちという意味ならwealthyがぴったりです。
資本は英語ではcapitalといいます。資本の他に、首都などがありますが、大文字、頭文字もcapitalということは案外知られていません。ちなみに小文字はsmall characterあるいはlower case letterといいます。日本語のような大小とは異なります。サイズの問題ではなく、歴史的に別々の物なのです。大文字にする場合は固有名詞など特別な場合に使う原則です。あくまでも原則であり看板など目立たせたい場合には大文字を使います。
資産の方はわかりやすいのですが、資本という概念が一般にはあまり理解されていません。経済学で習う古典派経済学では、「生産の三要素は資本・労働・土地」となっています。単純に考えれば「商売に必要になる元手」ということで、それは金なので資本金という言い方もします。しかし最近は忘れられがちですが、お金だけあっても商売はできません。自分だけでやるにしろ、他人を雇うにしろ、人手が要ります。そして商売をする場所が要ります。場所について、お店をどこかに作るのですが、最近はネット空間に作ることがあり、人手もロボットに置き換えることもあり、さらにお金も現金でなく、株式などにする方法が一般的になってきました。こうして抽象的な概念に進化したため、だんだんわかりにくくなって一般人から遠いものになりました。こうした経済の複雑化に対応するため会計学では「資産から負債を差し引いた自己資本」の意味になります。自己資本は大きく分けて「元本」と「獲得利益」から成り、「元本」はさらに「資本金」と「資本余剰金」に分けます。獲得利益は「利益剰余金」から成ります。元本とは「株主が会社に出資したお金の合計」のことで、獲得利益とは「事業で得た利益のうち会社に留保されているお金」のことです。これらを合わせたものが資本であり「純資産」とも呼ばれます。この説明がスンナリわかる人は会計をやっている人だけでしょう。専門用語だらけで勉強が必要です。
会計学的な資本と資産の違いは「資本=資産―負債」ということです。この概念は一般には理解されていないと思います。最近は「ふるさと納税」が普及して、個人で確定申告をする会社員も増えてきましたが、その時、会計学の概念の難しさに直面します。商売をしている人は事業税の申告があるので、少しは理解していますが、会計士におまかせ、の人がほとんどだと思います。しかし基本を知れば会計ソフトもありますから対応はできます。まず資産と資本を知りましょう。
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