円周率の日


円周率

3月14日は世界的に円周率の日になっています。これは語呂合わせではなく、数字そのものです。細かい人は3月14日1時59分または15時9分、さらに厳密にするなら、1時59分26秒5でしょう。もっとも「カンパーイ」と祝杯を上げるには短すぎます。円周率はπ(パイ)で表記されるのでパイを食べる人もいるそうです。アメリカはNational Pi Dayというので、パイ好きのアメリカ人なら当然でしょう。

円周率というのは古くて新しい問題です。小学校でも習う直径の長さに対する円周の長さの比率です。円周率が無理数であることは最初に習うことで、無理数は平方根などたくさんある数学の概念ですが、平方根は中学で習うのに対し、円周率は小学校で習うので、誰もが覚えているわけです。ただし少数が入るので、ざっくりと約3倍と教えることもあるようです。素直に考えれば、円周は測ることが難しいので、直径から割り出すということなのですが、長さそのものの測定は筒に巻き尺を撒けば簡単にわかります。問題は円の面積の方です。半径の二乗にπというのは普通には理解できません。しかし球の表面積や球の体積などを求める場合には必要になってくるので、実数ではなくπという記号で表現することで数学が進展してきました。

現代的に考えると、円はアナログな存在ですが、直径の長さとの比率というのもアナログな世界です。問題はこれをデジタルに表示しようとすると無理数という抽象的な存在になってしまう、ということです。事実として考えると、長さというのも抽象的な概念で、実測して数字で表記しようとするといろいろな問題があり、近似的に理解するしかありません。何センチという場合はその単位の精度でよい、ということであり、何ミリとか何ミクロンという場合はその精度が必要ということです。そして計算は原則としてデジタルな数字にしないとできない、ということです。

しかし地球も太陽も丸い存在で、運動も回転も丸い存在です。自然界にはアナログなものがたくさんあります。それらはデジタルで近似的に計算されているわけです。近似化は際限がないので、記号化して仮の存在として規定することで、次の計算段階に進めます。こういう抽象記号化はあらゆる場面で行われていて、それが自然科学を支えているといっても過言ではないと思います。そもそも言語が記号であり、言語化するということは抽象化することです。言語によって記号化されたことは真実truthにはなりえても事実factとは言い切れないことがたくさんあります。

ついでですが、またこの日はアインシュタインの誕生日なので数学の日でもあるそうです。

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