受信者の意味論3 工学的手法
受信者が意味を心理的にどのように構築していくかを直接観察する方法はなかなか大変ですが、近年になって、脳内の血流量や脳波の測定から、ある程度の推測ができるようになりました。これは音声の研究に対して音響工学が貢献してきた過程に似ていると思います。
たとえばN400という脳波は言語に関わるらしい、ということがわかってきました。N400とは「N400は、 事象関連電位 (ERP)として知られる脳波における成分の一種である。 刺激呈示の開始後約400ミリ秒でピークを持つ負の方向の振れとして命名されたが、250〜500ミリ秒に広がることもある.通常は頭頂の中心辺りに位置する電極で最大の振幅が観測される。 N400は、視覚および聴覚による単語、 手話のサイン、 写真 、 顔 、環境音、匂いなど、 言葉やその他の意味のある(または潜在的に意味を持つ)刺激に対する脳の反応だと考えられている」(Wikipedia)
P300という脳波は「「P300」とは、脳波の一種で、頭皮上で計測される電位のことです。刺激が提示された後、およそ300ms以降に頂点をもって出現する陽性の脳電位で、中心頭頂部でもっとも大きく記録されます1。P300は、課題に関連している情報を処理する際に生じると考えられており、注意や記憶、認知文脈の更新に関与しているとされています1。P300は、医療以外の分野においても応用が広がっており、プローブ刺激法による注意配分量の推定や隠匿情報検査による記憶の検出などに利用されています。(https://www.bing.com/search?q=p300)
脳波測定は医療目的で開発された技術ですが、脳の神経細胞の働きを評価する検査ですので、脳神経細胞が働くことで出る電気活動が異常に興奮している状況や逆に低下している状況を評価できます。そして脳の神経細胞の発達によって電気活動は異なってきます。したがって乳児・幼児・小児と成人では脳波自体も異なってきます。発作波とともに、それぞれの年齢に応じて、正しいときに正しい波が出ていることを観察できるので、精神医学から始まっていて、すでに診断の一部として活用されていますが、医療以外への応用として脳科学では注目されています。まだ心の動きを解明とまではいきませんが、それほど遠くない将来、受信者の心の中がわかるかもしれません。
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