デジタルの日



10月10日・11日はデジタルの日だそうです。昨年からできたばかりの記念日です。新設のデジタル庁が創設したもので同庁によれば「「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現するため、社会全体でデジタルについて定期的に振り返り、体験し、見直す機会として、2021年から「デジタルの日」が創設されました。創設初年度となる2021年は、10月10日(日)、11日(月)に「2021年デジタルの日」を実施し、(中略)2022年以降は「毎年10月の第一日曜日・月曜日をデジタルの日」とし、また「毎年10月をデジタル月間」とします。」だそうです。理由が書いてありませんが、コンピュータが0と1の2進法だからそうです。それなら11月でもよさそうなものですが、デジタル庁という割に不合理な説明です。
デジタルdigitalは英語では形容詞です。元のdigitというのは指のことで、指折り数えていく方法なのでdigitalといいます。数学の整数の意味です。反対のanalogというのは連続的で数えられないものをいいます。英語の時間に可算名詞、不可算名詞というのを習った記憶があると思いますが、それがdigital, analogということです。数量詞のmanyは可算名詞に、muchが不可算名詞につきますから、英米人は理解しやすい概念です。発音もディジタルが原音に近いのですが、なぜかデジタルで固定化されてしまいました。形容詞を名詞にする場合はtheという定冠詞を付けるという文法も習ったはずですが、日本語には冠詞という概念がないため、形容詞がそのまま名詞として外来語になってしまいました。なのでデジタルの日というのは日本独特の表現です。英語表記はJapan Digital Daysになっていますが、英語の感覚からすると非常に奇妙です。日は元々数えられるのでdigitalなものです。だから複数形になっているのですが、変なところだけ英文法に忠実で肝心なところは意味不明という官僚的直訳です。こんな英語力でデジタル庁は大丈夫でしょうか。デジタル庁の英語訳もDigital Agencyとなっています。本来はa digital clock(デジタル時計)のように名詞をつけた表現であり、日本語のような抽象的な意味を無理に訳すならthe digital conceptとかthe digital equipment、the digital communicationのように個別的に表現するものです。日本語のデジタル人間をa digital manと訳すと「整数人間」なのでイメージがわかないと思います。デジタル庁の役人は本当にデジタルのことをわかっているのか不安になります。「誰一人取り残されない」どころが自ら取り残されているのではないか、と皮肉を言いたくなります。「人に優しいデジタル化」というのも奇妙な標語です。IoTと誤認しているのでしょうか。こんな調子でやっているようでは、日本のデジタル化はどんどん遅れていきそうな気がします。

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