日本英語が高度なワケ 1
外国の大学に行くと、日本人留学生の書く英語が高度であることに驚いている、という話をよく聞きます。普段、教室ではもの静かにじっと講義を聞いているだけで、理解したのかどうかもわからず、討論になると質問もなく、議論には参加しないので、やはり理解できていなかったのだと思ったら、レポートの内容はしっかりしている、というのが共通の話です。これは日本に来た外国人教師も同じことをいいます。中には「あんなに立派な英語が書けるのに、決して質問をしてくることはないのは、私をバカにしているのだ」といって、悩む真面目な外国人教師もいます。先生に質疑応答はしない、授業中は静かに聞いている、というのが日本文化だ、という説明をしても納得できない人もいます。
確かに外国で教えてみると、その違いがわかります。教室で生徒はやたら質問してきます。話の内容とは関係ない質問もかなりあります。そしてそれをきっかけに議論に発展することもしばしばあります。実はその質疑応答が点数になる、というか成績に反映するのが普通です。「授業に積極的に参加している」という評価なのです。授業に関心のない子は他ごとをしていますし、じっと腕を組んで教師を見ている子は反抗的な子です。国によって多少の違いはありますが、欧米はおおむねこんな感じです。
日本の教育は総じて、教科書中心で、読んで理解することと、理解したかを試験することで成績がつけられます。教科書に書いてないことを試験すると大事になります。教科書の答え以外を書くと必ず誤答となります。教育内容が画一的になるのは当然のことです。先生への質問も教室ですることはなく、個人的に聞きに行くのが普通です。まして先生と違う見解を教室のみんなの前で述べることなどありえません。しかし欧米の教室ではよくあることなのです。生徒同士が意見の違いで激論することもよくあることです。そこでは会話力が決め手となります。これは教育現場だけでなく、学会でも同じです。国際学会で、日本人学者は議論しない(できない)のは普通の姿です。質問されてもうまく答えられないだけでなく、議論はまず無理です。そこで英会話力について学校教育を恨む羽目になります。戦略としてしっかりした文章のハンドアウト(配布資料)を作っておいて配り、あとはメールで、ということになります。
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