障子と襖の文化
襖や障子は日本では当たり前のものですが、日本独特のものです。扉としての機能と壁としての機能があり、開け閉めするという意味では扉ですが、すべて閉じれば壁の役割をします。襖は完全に閉じていますが、障子は一部をガラスにして外が見えるようになっているものもあり、窓の役割にもなっています。
そしてなにより、襖には絵が描かれています。外国でも壁に絵を描くことはありますが、外壁が中心で、家の中の壁に立派な装飾をすることはありません。壁は絵などを飾って装飾します。襖は一度描いたらまず交換しませんから、かなり立派な絵を描いています。安い襖は貼ってある紙を交換することで替えることができます。神社仏閣や城や館の襖は名のある絵師による超豪華な絵が描かれていて国宝のものもあります。
襖が壁の役割をして部屋と部屋を仕切る機能がある反面、襖を取り外すことで1つの大部屋にして利用することもできるようになっています。現在でいうパーテーションのような機能があるのです。
障子は格子状の細い柱の組み込みである桟(さん)に和紙を張ってあります。襖と違い簡単に交換できるようになっており、時々古くなった障子紙をはがして、新しい紙に張り替えるのですが、素人でも割合簡単に張り替えられます。昔は糊としてご飯粒を練って糊状にし、ぬるま湯で薄めて使っていました。ご飯粒の糊は案外強力で、木との相性もよく、伝統的な指物細工には今でも使われています。
障子は紙なので、破れ易く、昔は唾を付けて穴をあけて、中を覗くというような行動があり、文学や時代劇にはよく出てきます。わざとではなく空いてしまった穴を埋めるのに、小さな花形に切った紙を貼り合わせて修理することもあります。これが模様のような風情になっていています。また、その部分だけ紙が厚くなるため、光が通るとそこだけシルエットになります。桜の花形は紙を八つ折にして1つ分の花びらのように切って、それを広げると八花弁の桜のような形になります。形に決まりはないので、三日月の形にしたり、時には本物の紅葉を張ったり、部屋の中からも風景のような風情が楽しめるような仕掛けになっています。障子は部屋の扉だけでなく、窓の扉にも使われます。いろいろな形の窓の障子は開けると借景になったりします。
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