旧暦大晦日と恵方
旧暦の大晦日は2024年2月9日になります。昨年の閏月で1カ月遅れた旧暦ではようやく年が終わります。新暦では12月31日ですから、そう思いがちですが、旧暦では31日はなく30日が毎月の晦日(みそか)であり、師走30日が大晦日となります。みそかとは三十日のことですから、言葉と合っています。
大晦日は歳神様(としがみさま)(または歳徳様(としとくさま))への信仰に基づく儀礼から生じとされています。歳徳神は文字通りその年一年間を司る神様です。年の初めに来られるのですが、年によって来られる方向が異なり、その方角を恵方といいます。今年は東北東です。今では節分の恵方巻が流行るせいで、恵方が知られていますが、本来は元旦の初詣の時の恵方です。そもそも節分が年末のことです。恵方はその年の十干(じっかん)によって決められ、今年は甲辰(きのえたつ)です。十干の方角は、東北東・西南西・南南東・北北西の4方向しかありません。十干で甲・己の年は東北東、乙・庚の年は西南西、丙・辛・戊・癸の年は南南東、丁・壬の年は北北西の方角となっています。この法則性から、恵方は西暦の1の位で知ることもできます。西暦の1の位が「0と5」の時 恵方は西南西、1の位が「1と3と6と8」の時の恵方は南南東、
「2と7」の時の恵方は北北西、「4と9」の時の恵方は東北東となります。不思議でもなんでもなく規則的に回っているだけですが、単純に右回りではなく、下図を見ればわかります。
『催事ラボ』https://saijilab.com/eho/より引用
歳神様は神社ではなく各家々に訪れると信じられ、神様をお迎えし食事を共にしたりするために大晦日から「年籠り」(としごもり)をして、元旦に恵方にある近所の神社へ参拝する恵方詣りをしたり、家でお迎えします。神社へ参賀する初詣を行うようになったのは、明治20年代に官公庁から始まった元旦に御真影を拝む「新年拝賀式」と明治24年の「小学校祝日大祭日儀式規定」により元旦に小学校へ登校する「元旦節」などを経て、関西の鉄道会社が正月三が日に、恵方とは無関係な方角の神社へ初詣を行うというレジャー的な要素を含んだ行事を沿線住民に宣伝しこれが全国にまで広まったことだそうです。今も昔も商売で習慣が変わってしまいます。あの恵方巻も元々は大阪地方の習慣であったのを、大阪天満宮での「丸かぶり」がテレビで紹介されてから、海苔屋や寿司屋がそれに便乗し、さらにコンビニやスーパーがCMで広げるようになってから広がった習慣です。平賀源内が広めた「土用丑のうなぎ」と同じです。菓子屋が始めたクリスマスケーキ、バレンタイン、ハロウインと同様、日本の新習慣は商売人が支配しているようです。
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