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情報の臨界点
物理の世界では臨界点critical pointといい、たとえばいわゆる「三態」と呼ばれる個体、液体、気体にわかれる温度や圧力の限界点があります。臨界点は物質ごとに決まっており、たとえば水は0℃で氷になり、100℃で水蒸気になる、というようなことです。臨界という概念は他にもあり、原子物理学では臨界状態critical stateという原子炉で原子核分裂の連鎖反応が一定の割合で継続していることをいい・・・
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受信者の意味論5 行動観察
受信者が意味を心理的にどのように構築していくかを間接的に観察する方法として、一番普及しているのが行動観察です。人間の行動には意識的行動と無意識的行動がありますが、行動のほとんどは習慣化していて、ほぼ無意識に行われています。この無意識的行動は生理的な反射行動とも異なります。反射行動は意識では制御できないのに対し、無意識行動はある程度、制御できます。たとえばくしゃみを止めることはほぼ困難ですが、その時・・・
受信者の意味論4 文学的手法
受信者が意味を心理的にどのように構築していくかを間接的に観察する方法は昔からありました。厳密にいえば、受信者の心の観察そのものではなく、発信の一部ともいえますが、読み手をあまり意識せず、自省的な表現で心の中を記述している文献があります。 たとえば「徒然草」では「心にうつりゆく、よしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば」と書いており、自分の心の中の動きを観察して、記述しよう、ということを宣言してい・・・
受信者の意味論3 工学的手法
受信者が意味を心理的にどのように構築していくかを直接観察する方法はなかなか大変ですが、近年になって、脳内の血流量や脳波の測定から、ある程度の推測ができるようになりました。これは音声の研究に対して音響工学が貢献してきた過程に似ていると思います。 たとえばN400という脳波は言語に関わるらしい、ということがわかってきました。N400とは「N400は、 事象関連電位 (ERP)として知られる脳波における・・・
受信者の意味論2
受信者が意味をどのように構築していくか、つまり受信者の意味論を研究するには、まず心理的な現象を物理的な現象に変換しないと、現代科学では研究が困難です。 送信者の場合、発信した「痕跡」が物理的に残ることが多いです。実際、文字による記録だけでなく、録音や録画など電子媒体も増えて、事実として、物理的な解析が可能な状態になっています。そのため言語学や情報科学では、言語解析が進んできました。ところが、受信側・・・
秋彼岸の入り
お彼岸はインドなど他の仏教国にはない日本だけの仏教的行事です。日本は正月など神道にまつわる行事を行う一方、仏教を説いた釈迦の教えも受け入れてきました。これを「日本教」と評した文明学者(ハンチントン)もいましたが、客観的にみるとかなり当たっていると思います。宗教が混淆化することは、とくに珍しい現象ではないのですが、古い時代から綿々と続いているというのは世界的に珍しいかもしれません。彼岸は仏教用語で西・・・
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受信者の意味論
コミュニケーションは送信者と受信者がいて、初めて成立するのが基本原理です。しかしこれまでの研究のほとんどは送信者側の研究でした。伝達の基本ツールである言語の研究でも、構造の研究は発信者の意図から、推定していくものです。意味の研究においても、心の中にある意味がどのように構造化され、言語化されていくか、という研究が今でも主です。Chomskyはideal speaker-hearerという理想状態を想・・・
相互微小伝達5 IMC+VR+NETWORK
Interactive Micro Communication (IMC=相互微小伝達)と仮想現実Virtual Realityの関連について、考察しました。そして仮想現実Virtual Realityは近代に始まったことではなく、ことばを使うこと自体が仮想現実の世界であることを説明してきました。もう1つ近代の伝達の特徴としてネットワークというものがあります。ネットワークというと近年の概念のような・・・
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環境や状況の非言語情報
人間の認識に、自然環境や状況が大きく影響することは日頃実感します。自然環境は自然が発信しているわけではないので、受信者が一方的に認識している情報です。しかし発信者と受信者が環境情報や状況情報を共有していることはよくあることです。その共有関係を利用して、「今日は暑いですね」「そうですね」といった挨拶というコミュニケーションが行われます。この場合の情報内容は実際の暑さのことではなく、共有関係にあること・・・
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非言語伝達とは何か
非言語伝達とは定義上「言語以外の伝達」なので、範囲は無限に近くなります。どこまでを対象とするか、で研究方法も違ってきます。一方で、言語と非言語の境界も曖昧です。非言語情報の定義の仕方は「○○以外」という方法なので、対立的な概念ではなく、1つを強調するために、その他を排除する概念なので、相手方が無限になるという矛盾が生じます。この非言語情報を定義した人は、言語こそが伝達手段という思い込みが前提にあっ・・・
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旧暦の八朔
今年は新暦9月15日が新月で、旧暦八月一日、八月朔日つまり八朔となります。 八朔といえばミカンしか思い浮かばない人がほとんどだと思いますが、昔の人々にとっては重要な日でした。この頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからありました。このことから、田の実節句(たのみのせっく)ともいう言い方もあります。この「たのみ」を「頼み」にかけ、武家や公家の間でも、日頃お世話になっている・・・
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相互微小伝達4 IMC+VR
Interactive Micro Communication (IMC=相互微小伝達)について、考察してきました。そして仮想現実Virtual Realityは近代に始まったことではなく、ことばを使うこと自体が仮想現実の世界であることを説明してきました。当たり前のことですが、ことばは事実そのものでなく、人が事実のように認識する現実を想起させるものです。事実は物の世界、現実は心の世界、という事実と・・・
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記章の非言語情報
記章にはいろいろな英訳がついていますが、emblemエンブレムというのが一番広く扱えそうな概念です。記章は服装の一部と考えがちですが、実は自動車のメーカー名を示すものや、警察のマークなど、エンブレムとは「概念や人物、家柄、所属組織などを表すための、抽象的・具象的な図形」のこととされています。徳川家の三つ葉葵などの家紋も、家柄を表すエンブレムです。学校の制服や帽子についている校章や、警察手帳などにつ・・・
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相互微小伝達3 Interactive Micro Communications
仮想現実Virtual Realityの問題は近年、話題になっていますが、実は仮想現実は伝達のもつ側面の1つで昔からありました。近年になって、新たなネーミングをしただけにすぎません。対面で話をしていた時の時代でも、コトバで表現されている情報と実際の現実には乖離があります。まず現実と事実とは何かを理解しておく必要があります。事実はfactであり、そこに物理的に存在し、誰もが観察できます。現実はrea・・・
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二百二十日
二百二十日(にひゃくはつか)は台風が来る時期として知られています。立春から数える雑節には八十八夜、二百十日、二百二十日があります。ただ数えただけの日に意味をもたせる習慣になっています。物理的な意味から、これらを88日目、210日目、220日目と書いては意味をなしません。これがことばの力と言えます。実際に口に出して「にひゃくはつか」と「にひゃくにじゅうにち」と言うと、違いがわかります。また漢字で二百・・・
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相互微小伝達2 Interactive Micro Communications
大量伝達(マスコミ)は必然的に一方通行の情報伝達になります。その正反対である少量伝達は双方向にすることが容易です。もっとも少量である伝達方法は対面による個人対話と考えられます。これを微小伝達と呼ぼうというのが提案です。英語でいうならmicro communicationです。もし独り言も伝達だ、というなら、単方向の微小伝達もありえますが、伝達とは発信と受信があることが前提なので、独り言は自分が発信・・・
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相互微小伝達 Interactive Micro Communications
相互微小伝達、略して相微伝達は私の造語です。概念を明らかにするために英語の命名もしておきます。Interactive Micro Communicationsです。この概念はいわゆるマスコミmass communicationsに対比するために考えた概念です。現実には昔からあるものですが、視点を強調するために新語を造語しました。 マスコミに対する批判が近年増していますが、その原因の1つが発信する側・・・
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白露
白露と聞くと、秋なのだなと思える表現ですね。9月8日は二十四節気15番目の白露です。二十四節気は旧暦でも太陽の運行に合わせているので、新暦でもあまり変わりません。処暑が終わり、白露の次は秋分となり、秋の真っただ中になります。ある意味、秋が実感できる季節です。日中はまだ暑さが残るとはいえ、朝晩は空気も涼しくなり、空の雲が変わります。 初侯 - 草露白し(くさつゆしろし):草の上に降りた朝露が、朝の空・・・
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未来計画
遡及の反対語ははっきりしません。英語でもretroactiveの反意語はいろいろでてきます。これは非常に意味深いことで、考えてみれば、遡及というのは、過去のある時点まで遡って、何かを実行することです。しかし、将来のある時点まで行って、何かをするということは想像上でしかできないことです。そこで遡及の反対語は、未来計画とか、先行とか、行く末、といった語が辞書に挙げられています。 こういう時空を前提とし・・・
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遡及的方法論
遡及(そきゅう)という表現はどちらかというと法律関係で用いられることが多いのですが、遡って物事を考えるという手法は重要です。英語ではretroactiveといいますが、retroはレトロつまり過去ということです。日本でいうレトロはどうやらretrospectionというのが起源のようです。Retrospetion は回顧と訳されることが多い単語です。そして懐古趣味という用法が多く見られます。現在だ・・・
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